[P1-2-35] Klebsiellaのマンノースホスホトランスフェラーゼシステムは腸管定着関連因子である
キーワード:Klebsiella、ホスホトランスフェラーゼシステム、腸管定着
Klebsiella 属細菌は通性嫌気性グラム陰性桿菌で、鼻腔粘膜や口腔の常在菌である。近年、口腔内に存在するKlebsiellaが腸管内に異所性に定着し大腸でTh1細胞の過剰な活性化を引き起こすことが報告されたが、腸管内への定着機序や免疫調節機構は不明である。Klebsiellaが腸管に定着する際には、利用可能な栄養素に対し常在細菌と競合すると考えられる。そこで我々はKlebsiellaの糖利用能に着目し腸管定着への影響を解析した。腸管粘液に由来する13の単糖をそれぞれ唯一の炭素源として添加した最少培地でKlebsiella quasipneumoniae ATCC 700603 (Kq)を培養したところ、マンノース、グルコサミン、N-アセチルグルコサミンを利用な可能なことが明らかとなった。そこで今回は、マンノースの取込みに関わるホスホトランスフェラーゼシステム (ManXYZ) に着目し解析を進めることとした。KqのmanXYZ遺伝子欠損株 (ΔmanXYZ) をテトラサイクリン耐性遺伝子との相同組換えにより作製し、最少培地を用いて糖利用能を調べた。その結果、ΔmanXYZがマンノースとグルコサミンを利用できた。次に野生株とΔmanXYZをマウスに経口的に感染させ、腸管への定着能を調べた。感染後の糞便中のそれぞれの菌数を比較したところ、野生株が経日的に優位となり、腸管定着能はΔmanXYZで低下することが明らかになった。さらにKqの免疫調節能を調べるために野生株感染群とΔmanXYZ感染群のマウスを使用し大腸の粘膜固有層リンパ球をフローサイトメトリーで解析した。その結果、野生株感染群とΔmanXYZ感染群でTh1,Th17誘導に有意差は認められなかった。
以上の結果から、ManXYZはマンノースとグルコサミンを取り込むPTSであり、腸管定着に関与するビルレンス因子である可能性が示唆された。
以上の結果から、ManXYZはマンノースとグルコサミンを取り込むPTSであり、腸管定着に関与するビルレンス因子である可能性が示唆された。