[P1-2-38] Cell-based therapy with Effectively Mononuclear Cell (E-MNC) improves pathology and promotes tissue regeneration in radiation-damaged salivary glands
Keywords:放射線性障害唾液腺、末梢血単核球、細胞治療
【目的】われわれは末梢血単核球から誘導した免疫寛容性マクロファージ(MΦ)を主体とする高機能細胞E-MNCを開発し,放射線性障害唾液腺に対する細胞治療の有効性について報告した.その中で,E-MNCを構成する免疫寛容性MΦがHMGB1等のDAMPs除去に作用し,過剰炎症の抑制と組織再生に寄与する可能性を見出した.本研究はその機序を解明するため,HMGB1/TLR4/RAGEシグナル伝達の変化に着目して解析した.【方法】野生型およびHMGB1受容体TLR4欠失マウスの頭頚部にガンマ線照射を行い,HMGB1受容体および炎症関連遺伝子発現解析を行った.実験群としてE-MNC投与群,対照群としてMΦを除去したCD11b陰性E-MNC投与群を設定し,8週齢のC57BL/6Jの顎下腺に細胞移植を行った.移植後はその動態と治療効果について解析した.また培養唾液腺上皮細胞において,HMGB1によるTLR4発現刺激後の作用について評価した.【結果と考察】対照群ではTLR4/NF-kB経路による炎症関連遺伝子発現が上昇し,無菌的炎症の遷延化と組織線維化を認めた.一方実験群では,免疫寛容性Msr1陽性M2MΦによるHMGB1貪食とTLR4/NF-kBシグナルの抑制,IGF1の産生を介した組織障害の軽減化を認めた.またHMGB1含有培養上清の添加により,放射線無照射の唾液腺細胞においてTLR4/NF-kB経路を介した炎症関連遺伝子発現の上昇を認めた.さらにTLR4 欠失マウスでは照射後の障害発生に遅延を認め,代償的に増加するRAGE陽性細胞が遅延して成立する障害に寄与することが示唆された.以上より,E-MNC中の免疫寛容性MΦによるHMGB1除去がTLR4とRAGE両受容体からのシグナル抑制に機能し,無菌的炎症の除去とIGF産生を起点とした組織再生に寄与することが作用機序の一端であると考えられた.