モリタ優秀発表賞ポスター発表

[P1-2-47] アルキル化DNA損傷応答におけるセントロメアタンパク質CENP-Aの役割

〇井口 晃太朗¹、藤兼 亮輔^1,2、日高 真純^1,2 (1. 福歯大　分子機能、2. 福歯大　口腔医学セ)

キーワード：DNA損傷応答、アポトーシス、CENP-A

アルキル化剤処理によって生じる損傷塩基の一つO⁶-メチルグアニン（O⁶-meG）はDNA複製を阻害せずにチミンとの誤対合を形成し突然変異の原因となるが、我々はミスマッチ修復（MMR）複合体がこの誤対合を認識し、チェックポイントキナーゼATR/CHK1の活性化を経てアポトーシスを誘導することで突然変異の誘発を抑制することを明らかにしてきた。さらに、クロマチンリモデリング因子SMARCAD1がMMR複合体による損傷認識過程において重要な役割を担っていることを見出してきた。
　CENP-Aはセントロメア特異的なヒストンH3として機能することが知られているが、近年CENP-Aのヌクレオソーム形成にMMR因子の一つPMS2とSMARCAD1が必要であることが報告された。そこで本研究ではO⁶-meG が引き起こすアポトーシス誘導におけるCENP-Aの新たな機能の可能性を解析することを目的として、HeLa細胞を用いてCENP-A遺伝子のノックダウン細胞を構築し、アルキル化剤処理を行なった。その結果、CENP-Aノックダウン細胞ではコントロール細胞に比べて有意に生存率が上昇することが明らかとなった。このことから、CENP-AはMMRとSMARCAD1との相互作用を介してアポトーシス誘導において機能し、ゲノムの恒常性維持において重要な働きをしていることが示唆された。