[P1-2-49] 歯周病マウスモデルにおけるPorphyromonas gingivalisと好中球による脳機能障害の検討
キーワード:歯周病原細菌、好中球、脳機能障害
【緒言】歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisのプロテアーゼのジンジパインは歯周炎の病態形成に深く関わる。一方、口腔の好中球は恒常的に細胞外トラップを放出しており感染防御を担うが、過剰な好中球の活性化は歯周炎を増悪させる。近年、歯周病は脳機能に影響を及ぼすことが注目されている。本研究は歯周炎におけるP. gingivalis感染と好中球細胞外トラップが脳機能に及ぼす影響について、歯周病マウスモデルを用いて検討した。
【材料と方法】歯周病マウスモデルは、C57BL/6マウス臼歯に絹糸を結紮する方法(ligature-induced periodontitis; LIP)とP. gingivalis口腔感染を供試した。脳へのP. gingivalis感染伝播、歯肉および脳における炎症性サイトカイン発現ならびに好中球細胞外トラップ(シトルリン化ヒストンH3; cit.H3)発現をRT-qPCR法で解析した。歯周炎による脳機能への影響について新規物体認識試験で評価した。
【結果】P. gingivalis感染による歯槽骨吸収、炎症性サイトカイン発現ならびにcit.H3発現は、LIP処理マウスにおいて著明に亢進した。興味深いことに、LIP処理マウスでは口腔に感染させたP. gingivalisが脳に伝播したほか、脳の炎症性サイトカインおよびcit.H3発現が亢進し、認知機能が低下した。同作用は、P. gingivalisジンジパイン欠損株ならびに歯肉のDNase投与で消失したことから、ジンジパインとNETsが関与することが示唆された。
【考察】歯周炎においてジンジパインと口腔好中球が放出する細胞外トラップは協調して脳へ移行し、脳機能障害を引き起こすことが示唆された。
【材料と方法】歯周病マウスモデルは、C57BL/6マウス臼歯に絹糸を結紮する方法(ligature-induced periodontitis; LIP)とP. gingivalis口腔感染を供試した。脳へのP. gingivalis感染伝播、歯肉および脳における炎症性サイトカイン発現ならびに好中球細胞外トラップ(シトルリン化ヒストンH3; cit.H3)発現をRT-qPCR法で解析した。歯周炎による脳機能への影響について新規物体認識試験で評価した。
【結果】P. gingivalis感染による歯槽骨吸収、炎症性サイトカイン発現ならびにcit.H3発現は、LIP処理マウスにおいて著明に亢進した。興味深いことに、LIP処理マウスでは口腔に感染させたP. gingivalisが脳に伝播したほか、脳の炎症性サイトカインおよびcit.H3発現が亢進し、認知機能が低下した。同作用は、P. gingivalisジンジパイン欠損株ならびに歯肉のDNase投与で消失したことから、ジンジパインとNETsが関与することが示唆された。
【考察】歯周炎においてジンジパインと口腔好中球が放出する細胞外トラップは協調して脳へ移行し、脳機能障害を引き起こすことが示唆された。