第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P1-2-52] 歯周病原細菌の増殖を阻害するヒト口腔常在細菌の探索と解析

〇生田 宗一郎1,2、永尾 潤一2,3、田中 芳彦2,3 (1. 福歯大、2. 福歯大 機能生物 感染生物、3. 福歯大 口腔医学セ)

キーワード:微生物、バイオフィルム、細菌

近年、歯周病をはじめとする口腔疾患が口腔内の単なる問題にとどまらず、糖尿病や誤嚥性肺炎、心疾患などの全身疾患に重大な影響を与える可能性があることが注目されている。口腔内のデンタルプラークには700種以上の微生物が存在しており、口腔微生物叢が形成されている。口腔微生物叢では様々な細菌が共生および拮抗状態を作り出し口腔の健康を維持していると考えられているが、口腔衛生状態の不良などにより細菌間の共生および拮抗状態が崩れることで、病原微生物が増殖し歯周病などの口腔疾患のリスクが高まると考えられている。 我々は口腔微生物叢における細菌間の相互作用に着目し、特定の細菌が抗菌因子などを産生することによって、他の細菌の増殖を抑え、自己増殖のために優位な環境を作り出している可能性に着目した。本研究では、口腔微生物叢において、歯周病原細菌の増殖を抑制する細菌を同定し、さらにその抑制メカニズムを解明することを目的とする。健常人のプラークから採取した細菌の中から、歯周病の主要な病原細菌であるPorphyromonas gingivalisの増殖を抑制する細菌をスクリーニングし、数種類の細菌を見出した。その中で、歯垢から単離したデンタルプラークの早期定着菌である細菌がP. gingivalis増殖を抑制することを明らかにした。本発表では、単離した細菌のグラム染色性や16S rRNA解析などの特性、P. gingivalis以外の歯周病原細菌に対する増殖阻害活性、およびこの細菌が産生すると考えられる抗菌因子の特定の試みについて報告する。