The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Poster

Poster session

Sat. Sep 16, 2023 1:20 PM - 7:00 PM Poster Presentation (131講義室)

[P1-3-17] Cathepsin S initiates nerve regeneration via fibroblast-Schwann cell signaling relay

〇Eri Oshima1,2, Yoshinori Hayashi2, Masamichi Shinoda2 (1. Div Oral Maxillofac Surg, Showa Univ Sch Dent, 2. Dept Physiol, Nihon Univ Sch Dent)

Keywords:末梢神経再生、カテプシンS、マクロファージ

末梢神経損傷後の軸索再生時にマクロファージ(Mφ)とシュワン細胞(SC)の相互作用が重要であることが報告されている。しかし、両者間の情報伝達を介した軸索再生の分子機構はほとんど解明されていない。本研究では、軸索再生に関連するMφ由来分子の同定を試みた。
 Sprague-Dawleyラットの下歯槽神経切除後の損傷部神経のトランスクリプトーム解析において、損傷部位で(カテプシンS) Ctss mRNAの発現が増加した。タンパクレベルでもCTSSの増加が認められ、CTSSの発現はMφに限局していた。下歯槽神経損傷後、下唇部の感覚麻痺は損傷12 日目から部分的に回復した一方で、損傷部のMφをClodronateにより除去すると感覚の回復は認められなかった。この際、修復型SCであるc-jun陽性SCが消失し、組織学的にも再生は認められなかった。感覚回復作用は損傷部のCTSSの薬理学的、遺伝的な阻害により遅延した一方で、CTSS処置により促進した。損傷部へのM2Mφの移植により感覚回復は促進し、これはCTSS阻害薬により遅延した。またCTSSは線維芽細胞上のEphrin-B2の切断を引き起こし、Ephrin-B2の受容体であるEphB2はSCで発現が認められた。CTSSによる下唇部麻痺の回復促進作用はEphrin-B2阻害ペプチドにより阻害された。三叉神経から線維芽細胞およびSCの初代培養細胞を作製し、トランスウェルを用いて共培養を行った。線維芽細胞にCTSSを作用させることによりSCでc-junの誘導が認められ、その作用はCTSS阻害薬およびEphrin-B2阻害ペプチドにより抑制された。CTSSによるEphrin-B2の切断はヒト末梢神経においても確認された。
 以上の結果より、Mφ由来CTSS が線維芽細胞を介してSCを活性化させ、軸索再生に寄与することが示唆された。