[P1-3-23] Effects of ghrelin on swallowing motor activity elicited by electrical stimulation of the superior laryngeal nerve in an arterially perfused rat preparation
Keywords:グレリン、動脈灌流ラット、嚥下
グレリンは胃から同定された成長ホルモン分泌促進ペプチド受容体の内因性リガンドであり、摂食亢進行動に関与する。摂食行動をコントロールするグレリンのような摂食亢進物質は嚥下運動にも何らかの効果をもたらすと考えられる。我々は動脈灌流ラットにおける注水による嚥下誘発で、グレリンが視床下部を介して頸部迷走神経の嚥下反射にともなう神経発射活動の振幅および持続時間を増加させるとともに、嚥下頻度を高めることを報告した。嚥下反射を起こす方法として注水だけでなく上喉頭神経(SLN)刺激が用いられる。今回我々は動脈灌流ラットを用いてSLN刺激で誘発した嚥下活動へのグレリンの効果を調べた。 実験には2〜3週齢のWistarラットを用いた。イソフルラン麻酔下にてラットを横隔膜下で切断し、下行大動脈から人工脳脊髄液を灌流した。頸部迷走神経から嚥下にともなう神経発射活動を記録した。迷走神経と反対側のSLNを電気刺激することで嚥下を誘発した。SLN刺激は5 Hz、10秒間の電気刺激を閾値の0.8~5倍の刺激強度で行った。グレリンは少量の蒸留水に溶かし、灌流液中に投与した。 グレリン(6 nM)は咽頭への注水と同様にSLN刺激によって誘発された嚥下においても嚥下反射にともなう神経発射活動の振幅および持続時間を増加させた。この効果は視床下部を除去した標本では見られなかった。また、閾値の3倍以上の刺激強度では、グレリンの投与により神経発射の間隔が延長し嚥下数が減少したが、視床下部を除去した標本では、これらの効果も見られなかった。これらの結果から、SLN刺激により誘発された嚥下における、グレリンの神経活動増強および嚥下数減少の効果も、視床下部を介して起こることが示唆された。