第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P1-3-35] 歯周炎の発症におけるヌクレオチド結合性多量体ドメイン1経路の役割

〇毛 丹1、井上 博1、合田 征司1 (1. 大歯大 生理)

キーワード:IL-8、歯肉上皮細胞、iE-DAP

目的 細菌のペプチドグリカンの構造であるiE-DAPのレセプターであるNOD1は,自然免疫を制御する役割を担っている.そして、免疫/炎症で重要な働きをする転写因子NF-κB の活性化を誘導することで様々なサイトカインや抗菌ペプチドの発現を誘導し、自然免疫の活性化に働く事が知られている. しかしながら、ヒト扁平上皮癌に対するNOD1の影響についてはほとんど知られていない. 本研究では歯肉上皮細胞株Ca9-22のサイトカイン産生に対するNOD1の影響について検討を行う. 材料および方法 1) 細胞培養:歯肉上皮細胞株Ca9-22は、10% 牛血清、100 ug/mlペニシリン、100 μg/mlストレプトマイシン、2 mM L-グルタミンを含むダルベッコスモディファイイーグル培地 (ハイグルコース)で培養を行った. Ca9-22は、5% CO2、37℃で培養した. 2) IE-DAP (10 ng/ml) にて 24 時間刺激後、上清中のIL-8、IL-6、TNF- α、GMCSF、IL-1βをELISA法にて測定した. 3) IE-DAP (10 ng/ml) で (0, 5, 10, 30, 60,120分) 刺激し、MAPキナーゼ( p38、ERK、JNK)のリン酸化をウエスタンブロッティングにて確認した. 結果 1) iE-DAP (10 ng/ml) にて 24 時間刺激後、IL-8 の分泌増強が確認された. IL-6、TNF-α、GMCSF、およびIL-1βの分泌量が変化しなかった. 2) MAPキナーゼのp38,ERKおよびJNKは、全てiE-DAP (10 ng/ml) 刺激にてリン酸化が増強した。また、そのリン酸化は時間とともに増強し、3つ共10 分でピークを認めた. 考察以上の結果から、歯肉上皮におけるiE-DAP誘導性 IL-8 産生においてMAP キナーゼ ( p38、ERK、JNK)のリン酸化が重要な役割を果たしている可能性が示唆された.