The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Poster session

Sat. Sep 16, 2023 1:20 PM - 7:00 PM Poster Presentation (131講義室)

[P1-3-42] Differential secretion systems of tear and saliva in acinar cell-specific Cdc42 knockout mice

〇Haruna Nagase1, Yuta Ohno1, Keitaro Satoh2, Masanori Kashimata1, Akiko Shitara1 (1. Dept Dent Pharmacol, Asahi Univ Sch Dent, 2. Div Pharmacol, Meikai Univ Sch Dent )

Keywords:外分泌腺、AQP5、small GTPase, Cdc42

涙腺と唾液腺は構造的に類似した外分泌腺である。どちらの腺も副交感神経の刺激により水分や電解質を分泌するが、両腺間の外分泌システムの相違はまだ十分に解明されていない。我々は上皮細胞の極性形成を制御する低分子量Gタンパク質Cdc42を腺房細胞特異的にノックアウト (KO) したマウスを用いて、同一個体の涙腺と耳下腺の外分泌システムの相違を解析した。 両腺とも腺房 Cdc42の減少に伴い腺房細胞のアポトーシスが誘導され、組織重量の減少を認めた。また腺腔構造はどちらも短く膨らみを持った構造に変化した。一方で興味深いことに、Cdc42 KOマウスをムスカリン受容体アゴニスト(ピロカルピン)で刺激し、唾液・涙液の分泌を同時に解析した結果、唾液分泌量は減少し、涙液分泌量は増加することが明らかになった。このような逆の結果が生じた理由を調べるため、ウエスタンブロッティングにより水チャネルAQP5のタンパク質発現量を評価したところ、唾液腺における増加および涙腺における減少が見出された。さらに、免疫染色によりAQP5の局在と蛍光強度を解析した結果、腺房細胞の腺腔側膜上のAQP5の発現は、涙腺では著名に増加し、耳下腺では減少すること示された。 これらの結果から、Cdc42は腺房細胞の腺腔側膜上のAQP5の発現量を涙腺では負に、唾液腺では正に制御することにより、両腺の分泌機能制御において相反する役割を担うことが示唆された。今後はCdc42ノックアウトマウスの涙腺における分泌量増加の要因を明らかにし、唾液腺機能障害の有効な治療法の開発につながる手がかりを見出すことが期待される。