第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P1-3-44] ヒト歯髄細胞におけるアスピリンによるRUNX2遺伝子発現量増加と石灰化分化能の促進

〇宮坂 直樹1,3、鳥居 大祐2、神 唯2、筒井 健夫2 (1. 日歯大 生命歯 口外、2. 日歯大 生命歯 薬理、3. 日歯大 生命歯)

キーワード:アスピリン、ヒト歯髄細胞、RUNX2

【緒言】ヒト歯髄幹細胞は、脂肪細胞や硬組織への分化能および免疫不全マウスへの皮下移植による象牙質/歯髄様複合体形成から、多分化能や組織再生能を有しており、再生医療への応用が期待されている。歯科治療で用いられている非ステロイド性抗炎症薬であるアスピリンは、抗炎症作用と鎮痛作用を有している。アスピリンは歯髄幹細胞の石灰化を促進することが報告されているが、その詳細は明らかになっていない。本研究では、ヒト歯髄細胞へのアスピリンによる石灰化分化誘導の促進について、RUNX2遺伝子発現のdigital PCR(dPCR)による解析を目的とした。 【材料と方法】日本歯科大学附属病院にて採取された抜去歯より歯髄細胞を分離し初代培養を行った。歯髄細胞播種後にアスピリンを作用させ細胞数を計測し細胞増殖を対照群と比較検討した。また、アスピリン作用群と対照群において、石灰化誘導培地を用いて分化誘導しアリザリンレッドS染色を行った。dPCRより、アスピリン作用群と対照群について石灰化関連遺伝子の発現解析を行った。 【結果と考察】アスピリン作用群の細胞増殖は、対照群と比較し同程度であった。石灰化誘導によるアリザリンレッドS染色では、対照群と比較しアスピリン作用群では陽性像が多く観察された。dPCRによるRUNX2の発現解析より、アスピリン作用群は対照群と比較し、RUNX2のコピー数は早期に増加する傾向がみられた。本研究より、アスピリンのヒト歯髄細胞への作用において、早期のRUNX2遺伝子発現量の増加による石灰化分化の促進が示唆された。