[P2-2-03] 変形性関節症の発症または病態に関わる候補遺伝子の同定と機能解析
キーワード:変形性関節症、マウスジェネティクス、ゲノム編集
【目的】変形性関節症(OA)は、関節軟骨の不可逆的破壊をきたす難治性疾患である。OAは、歯科ではⅣ型顎関節症として知られており、下顎頭形態変化等を生じる。OAのメカニズムはいまだ不明な点が多く、治療は対症療法であり病態を標的とした原因治療法は確立されていない。そこでOAの新規治療法および早期診断マーカーの開発を目的として、本研究では、変形性膝関節症(膝OA)のモデルマウスを用いてOAに伴って発現が変動する遺伝子の同定を目指した。 【方法】8週齢C57BL/6J雄マウス6匹の右足膝半月板を、Destabilization of Medial Meniscus (DMM)法にて不安定化させ、膝OAモデルを作製した。処置4週後、対照群である左足膝関節(sham側)と右足膝関節(DMM側)の、大腿骨と脛骨の骨頭をそれぞれ採取し、関節軟骨組織からRNAを抽出し、RNA-seqにて網羅的解析を行った。 sham側に対してDMM側で発現量が変動した遺伝子群をさらにRT-qPCRにて解析した。 【結果】マウス6匹のうち、DMM処置により発現上昇する遺伝子であるCol10a1が、RT-qPCRにおいてDMM側で発現上昇した2匹のサンプルを、RNA-seqにて解析した。その結果、発現を認めた約2万種の遺伝子の中から、2サンプル間で共通してDMM側で発現が上昇した遺伝子193個を抽出した。その中の40個の遺伝子に着目してRT-qPCR解析し、Dptを含む4種類の候補遺伝子を同定した。Cas9ゲノム編集法にて4種の候補遺伝子のノックアウトマウスの作製を行った。 【結論】本研究結果より、OAモデルマウスのDMM側で、発現が上昇する遺伝子群を見出した。今後、作製したOA関連候補遺伝子のノックアウトマウスにDMM処置し、機能解析を進める。