[P2-2-04] RANKL依存的なプロテアソームによるオステオプロテゲリン分泌制御の生物発光分析
キーワード:オステオプロテゲリン、開口分泌、生物発光イメージング
オステオプロテゲリン(OPG)は骨芽細胞から分泌される破骨細胞の分化抑制因子として骨リモデリングを制御している。本研究では生物発光イメージングを用いて骨芽細胞株から分泌されるOPGを可視化し、その分泌制御機構を明らかにすることを目的とした。OPGとガウシアルシフェラーゼ (GLase) の融合タンパク質(OPG-GLase) をマウス骨芽細胞株MC3T3-E1に発現させ、発光基質セレンテラジンを含む培養液に開口分泌されて生じる微弱発光を発光顕微鏡システムで検出した。その結果、OPG-GLaseの開口分泌が明確に観察され、分泌部位は細胞領域全体に分布していた。OPGの分泌に対するRANKLの関与を調べるため、RANKLと蛍光酵素mCherryとの融合タンパク質(RANKL-mCherry)を共発現させた。ルミノメーターを用いて培養上清の発光活性を測定したところ、OPG-GLaseの分泌量はRANKL-mCherryとの共発現によって著しく抑制されることが分かった。そこでタンパク質分解制御の関与を調べるため、MC3T3-E1細胞をプロテアソーム阻害剤 (MG132、ラクタシスチン)、及びリソソーム阻害剤 (クロロキン)で処理し、分泌に及ぼす影響を解析した。MG132とラクタシスチンはいずれもOPG-GLaseの分泌量を有意に増加させた一方で、クロロキンの影響はほとんど見られなかった。これらの結果から、OPGは細胞内でRANKLによってプロテアソームに運ばれてタンパク質分解を受けると考えられた。本研究は生物発光によりOPGの分泌を可視化および定量した初めての報告であり、RANKL依存的なプロテアソームによる分解機構がOPGの分泌を調節することを示唆するものである。