第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P2-2-06] カルボキシ基を修飾した酸分解性ポリロタキサンが破骨細胞に及ぼす影響

〇吉川 美弘1、津田 進2、堂前 英資1、池尾 隆1 (1. 大歯大 生化、2. 大歯大 化学)

キーワード:破骨細胞、β-シクロデキストリン、ポリロタキサン

[目的]歯周病は、歯に関連するバイオフィルムの細菌成分によって引き起こされる慢性炎症性疾患であり、破骨細胞による骨破壊が生じる。今回の研究では、細胞死を引き起こすことが知られているβ-シクロデキストリン(β-CD)に焦点を当て、酸により分解されてβ-CDを放出するポリロタキサン(AdPRX)を使用して、破骨細胞のへの影響を検討した。[方法] マウスマクロファージ様細胞(RAW264.7)をsRANKL存在下で3日間培養したのち、骨結合能を持つようにカルボキシ基を導入したβ-シクロデキストリン(CMC-β-CD)で刺激した。さらに1日間培養した後、破骨細胞分化誘導をみるためにTRAP染色を行った。また、あらかじめカルボキシ基を修飾したAdPRX(CMC-AdPRX)を反応させたオステオアッセイプレートの表面上で、sRANKL存在下、RAW264.7を1週間培養し、骨吸収窩の面積を計測した。[結果] TRAP陽性多核細胞数(核が3つ以上ある細胞)は、コントロール群と比較してCMC-β-CD刺激群で濃度依存的に有意に減少した。さらに、CMC-AdPRXを反応させたオステオアッセイプレートの表面上でも、TRAP陽性多核細胞数は濃度依存的に有意に減少するとともに骨吸収窩の面積も小さくなった。[結論]以上の結果から、CMC-AdPRXは破骨細胞の生存に影響を及ぼすことで、その機能を抑制する可能性が示唆された。