[P2-2-22] 肺炎球菌トリオースリン酸イソメラーゼの感染関連機能の解析
キーワード:肺炎球菌、トリオースリン酸イソメラーゼ、プラスミノーゲン
肺炎球菌は誤嚥性肺炎を含む細菌性肺炎における主要な起因細菌であり,敗血症,髄膜炎等の侵襲性疾患も引き起こす.これまでに,in vivo系における病原因子を同定するため,肺炎球菌感染マウスの気管支肺胞洗浄液をプロテオーム解析した.その結果,in vivo系で感染時に発現していることが示唆される15種のタンパク質を同定した.これらのうち,トリオースリン酸イソメラーゼ(TpiA)に着目し,感染に関与する機能を解析した.
組換えTpiAを作製し,Far-western blottingおよびBiacore解析により宿主分子との相互作用を解析したところ,TpiAはヒトプラスミノーゲンに結合性を示した.TpiAをプラスミノーゲンに結合させると,プラスミノーゲン活性化因子によるプラスミンへの変換が促進された.TpiAとプラスミノーゲンの結合は,リジンアナログによって添加量依存的に阻害されたため,リジン残基の関与が示唆された.そこで,TpiAを構成するリジンをそれぞれアラニンに置換した変異体を作製し,詳細解析を行った.その結果,C末端のリジンを置換した変異体では,プラスミノーゲン結合性および活性化促進性が有意に低下した.また,肺炎球菌の自己溶菌酵素オートリシンの遺伝子欠失株(ΔlytA)を用いて,培養上清および菌体表層のTpiA量を野生株と比較すると,ΔlytA株ではTpiA量が少なかった.
TpiAは細胞内に存在する解糖系の酵素だが,上述の結果から,肺炎球菌の自己溶菌によってTpiAが細胞外に放出され,菌体表層にも局在することが示唆された.細胞外TpiAはC末端リジン残基を通じて宿主プラスミノーゲンと結合し,プロテアーゼ活性を有するプラスミンへの変換を促進することが示唆された.TpiAは宿主プロテアーゼを菌体表層に固定化し,宿主組織侵入のために機能すると推察される.
組換えTpiAを作製し,Far-western blottingおよびBiacore解析により宿主分子との相互作用を解析したところ,TpiAはヒトプラスミノーゲンに結合性を示した.TpiAをプラスミノーゲンに結合させると,プラスミノーゲン活性化因子によるプラスミンへの変換が促進された.TpiAとプラスミノーゲンの結合は,リジンアナログによって添加量依存的に阻害されたため,リジン残基の関与が示唆された.そこで,TpiAを構成するリジンをそれぞれアラニンに置換した変異体を作製し,詳細解析を行った.その結果,C末端のリジンを置換した変異体では,プラスミノーゲン結合性および活性化促進性が有意に低下した.また,肺炎球菌の自己溶菌酵素オートリシンの遺伝子欠失株(ΔlytA)を用いて,培養上清および菌体表層のTpiA量を野生株と比較すると,ΔlytA株ではTpiA量が少なかった.
TpiAは細胞内に存在する解糖系の酵素だが,上述の結果から,肺炎球菌の自己溶菌によってTpiAが細胞外に放出され,菌体表層にも局在することが示唆された.細胞外TpiAはC末端リジン残基を通じて宿主プラスミノーゲンと結合し,プロテアーゼ活性を有するプラスミンへの変換を促進することが示唆された.TpiAは宿主プロテアーゼを菌体表層に固定化し,宿主組織侵入のために機能すると推察される.