[P2-2-25] Porphyromonas gingivalis standard strains they are a-changin’
Keywords:Porphyromonas、gingivalis、標準菌株
【目的】グラム陰性の偏性嫌気性菌Porphyromonas gingivalisは慢性歯周炎の原因菌の一つである。P. gingivalisは糖非分解性でありジおよびトリペプチドをエネルギー源として増殖する。このP. gingivalisの増殖性はタンパク質を唯一のエネルギー源とする最小培地(タンパク質最少培地)を用いて検証することができるが、実験結果に再現性が無い場合があった。我々はこの再現性が無い原因として、エネルギー源として用いたタンパク質製品間の異質性とP. gingivalisの標準菌株間の異質性を示してきた。本研究はP. gingivalisの増殖に対するカルシウムイオンとビタミンB12の影響を検証した。【方法】P. gingivalisの標準菌株であるW83とATCC 33277は他の研究室で実験に用いられている保存菌株を分与して頂き、当研究室の保存菌株と合わせた計2菌株のW83と7菌株のATCC 33277の増殖性を種々の最小培地を用いて比較検証した。【結果】カルシウムイオン依存性増殖が9個の菌株において確認でき、ビタミンB12依存性増殖が7個の菌株において確認できた。またこれらの発育因子の添加の有無の組合せによってタンパク質最少培地の種類が増加したため、増殖性の詳細な検証を行った。我々は以前9個の菌株の内の5菌株が互いに異なる増殖性を示して多様化していることを報告した。しかし今回は9個の標準菌株がすべて互いに異なる増殖性を示した。【結論】調べた9個の標準菌株はすべて多様化していることが示された。この結果は現在実験に用いられている他のすべてのW83とATCC 33277の菌株も多様化している可能性を示唆する。従って以降のW83とATCC 33277を用いた実験計画には再現性を保証するためにより慎重な実験デザインが求められることになるのではないかと考えている。