[P2-2-29] ミティス群レンサ球菌が産生する細胞外小胞の作用特性の解明
キーワード:レンサ球菌、細胞外小胞、口腔内細菌
【目的】ヒト口腔内常在細菌であるミティス群レンサ球菌 (MGS) は,菌血症や感染性心内膜炎の起因菌となるが,発症機構の詳細は不明である.近年,MGSに属する肺炎球菌から細胞外小胞 (MV) が分泌されることが示された.本研究では,病原性共生細菌であるMGSが産生するMVの作用特性の解明を目的とする.
【方法】MGSおよび唾液レンサ球菌の培養液から密度勾配遠心分離によりMVを分離し,粒径測定ならびにLC-MS/MS解析による含有タンパク質の同定を行った.また,細菌間相互作用におけるMVの作用については,歯周病・う蝕関連細菌の増殖とバイオフィルム形成に及ぼす影響を検討した.さらに,宿主に対するMVの作用については,A549細胞とTHP-1細胞を用いて,細胞形態,サイトカイン産生量,貪食活性に与える影響を解析した.
【結果】Streptococcus mitis の3株でMVの産生が確認され,LC-MS/MS解析により含有タンパク質が同定された.肺炎球菌 TIGR4株と S. mitis Nm-65株に由来するMVは Aggregatibacter actinomycetemcomitans (Aa) のバイオフィルム形成を抑制した.また,MVはTHP-1細胞の貪食活性を抑制するとともに,TNF-αとIL-8の産生を促すことが確認され,蛍光標識化MVはA549細胞に結合性を示した.
【結論・考察】MGSはMVを産生することが明らかとなった.MGSが産生するMVは,Aaのバイオフィルム形成を抑制し,宿主の炎症反応を誘発することを証明した.したがって,MVは生体内でのMGSの生存戦略として重要な役割を果たす可能性が示唆された.
【会員外共同研究者】田端 厚之 (徳大 院社会産業理工 生物資源産業)
【方法】MGSおよび唾液レンサ球菌の培養液から密度勾配遠心分離によりMVを分離し,粒径測定ならびにLC-MS/MS解析による含有タンパク質の同定を行った.また,細菌間相互作用におけるMVの作用については,歯周病・う蝕関連細菌の増殖とバイオフィルム形成に及ぼす影響を検討した.さらに,宿主に対するMVの作用については,A549細胞とTHP-1細胞を用いて,細胞形態,サイトカイン産生量,貪食活性に与える影響を解析した.
【結果】Streptococcus mitis の3株でMVの産生が確認され,LC-MS/MS解析により含有タンパク質が同定された.肺炎球菌 TIGR4株と S. mitis Nm-65株に由来するMVは Aggregatibacter actinomycetemcomitans (Aa) のバイオフィルム形成を抑制した.また,MVはTHP-1細胞の貪食活性を抑制するとともに,TNF-αとIL-8の産生を促すことが確認され,蛍光標識化MVはA549細胞に結合性を示した.
【結論・考察】MGSはMVを産生することが明らかとなった.MGSが産生するMVは,Aaのバイオフィルム形成を抑制し,宿主の炎症反応を誘発することを証明した.したがって,MVは生体内でのMGSの生存戦略として重要な役割を果たす可能性が示唆された.
【会員外共同研究者】田端 厚之 (徳大 院社会産業理工 生物資源産業)