第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P2-2-32] 口腔感染症による脳への神経免疫学的影響の解析

〇岸川 咲吏1,2、永尾 潤一1,2、豊永 憲司1,2、加地 英美1、中上 昌信1、岩沼 青葉1、田崎 園子1、根来 香奈江1,2、田中 芳彦1,2 (1. 福歯大 機能生物 感染生物 、2. 福歯大 口腔医学セ)

キーワード:感染、免疫、Porphyromonas gingivalis

歯周病は歯周病原細菌によって引き起こされる慢性的な口腔感染症である。口腔疾患の中でも歯を喪失する最も大きな原因であり、若年者から高齢者まで幅広い世代が罹患している。今までに歯周病は様々な全身性疾患のリスクファクターになることが報告されている。近年、高齢者の重度の歯周病罹患患者は非罹患患者に比べて認知症リスクが高いことや、認知症患者は認知症発症前に不安や抑うつなどの精神疾患を起こしやすいことが明らかになっている。これら精神疾患の発症には免疫細胞が関与しているとの報告もあるが、歯周病原細菌感染が若年者の脳に与える神経免疫学的なリスクについてはよく分かっていない。そこで我々は、若年者が長期にわたって歯周病に罹患すると脳に神経免疫学的な変化が起きることで精神疾患が誘導され、認知症発症の基盤が形成されるのではないかと仮定した。若年者の脳に対する歯周病原細菌感染のリスクが明らかになれば、新たな予防法の提唱や治療法の開発に繋がると期待できる。 我々は、歯周病原細菌の一つであるPorphyromonas gingivalis W83株を用いてマウス歯周病モデルを構築してきた。本研究の目的は、構築した歯周病モデルを活用し、若年齢マウスの脳組織に対するP. gingivalis感染の影響と、その影響によるマウスの行動変容に着目して、歯周病菌感染による脳組織への神経免疫学的影響を明らかにすることである。本発表では、P. gingivalis感染マウスの行動変化とそれに基づく神経免疫学的変化の解析結果について報告する。