第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P2-3-09] ヒト味蕾細胞を用いた甘味・うま味受容体TAS1R3遺伝子プロモーター領域の解析

〇豊野 孝1、松山 佳永1、片岡 真司1、瀬田 祐司1 (1. 九歯大 解剖)

キーワード:味覚受容体、TAS1R3、転写調節

ヒト味蕾において味覚受容体の発現量は、栄養状態により変化することが報告されている。しかしながら、その転写制御機構の詳細は明らかになっていない。そこで本研究ではヒト甘味・うま味受容体TAS1R3遺伝子のプロモーター領域の機能解析を行った。
 ヒト初代茸状乳頭味蕾細胞におけるTAS1R3遺伝子の転写開始点の決定を5’-RACE法を用いて行った。その結果、第一エクソン上流領域において、5カ所の転写開始点を同定した。次にTAS1R3遺伝子プロモーター領域の同定および転写調節に関わる配列の機能解析を、レポーターアッセイを用いて行った。その結果、TAS1R3遺伝子開始コドン上流の226bpにおいてプロモーター領域が認められた。本領域中には、転写因子FOXOファミリーの結合配列、およびSPファミリーの結合配列(GCボックス)が存在していた。そこで、これらの配列に変異を導入し、レポーターアッセイを行った結果、変異の導入によりレポーター活性の低下が認められた。次に、SPファミリーのSP1, SP3, SP4についてsiRNAを用いて発現阻害を行い、リアルタイム-RT-PCR法により発現量を調べた結果、SP1においてTAS1R3遺伝子の発現量の低下が認められた。さらに、味蕾細胞にSP1 mRNAを導入、発現させた結果、TAS1R3遺伝子の発現量の増加が認められた。
 以上の結果からヒト味蕾細胞において転写因子SP1がTAS1R3遺伝子の転写活性化に関わっていることが推測された。