第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P2-3-11] 線条体へのドパミン受容体拮抗薬注入が嚥下反射に及ぼす影響

〇佐藤 義英1、村川 亞里紗1 (1. 日歯大新潟 生理)

キーワード:線条体、ドパミン受容体拮抗薬、嚥下反射

【目的】パーキンソン病やハンチントン病は嚥下障害を伴うことから、大脳基底核疾患と嚥下障害には強い関連があると言える。しかし、大脳基底核の神経経路と嚥下機能との関連性については不明である。黒質緻密部のドパミン作動性ニューロンは線条体に神経線維を送り、直接路のニューロンにはD1受容体を介して興奮性に作用し、間接路のニューロンにはD2受容体を介して抑制性に作用する。そこで本研究では、ラット線条体へのドパミン受容体拮抗薬の注入が、嚥下反射に対しどのような影響を及ぼすのか検討した。【方法】実験にはウレタン麻酔下ラットを用いた。上喉頭神経連続電気刺激(0.2 ms duration, 30 Hz, 10 s)により嚥下反射を誘発し、顎舌骨筋から筋電図を記録した。両側線条体中央部へドパミンD1受容体拮抗薬Sch-23390(5 µg/µl)またはD2受容体拮抗薬domperidone(5 µg/µl)を注入した(2 µl, 90 秒)。注入前および注入直後から注入90分後まで、嚥下回数および嚥下開始時間を計測し、経時的な変化について検討した。実験終了後、脳切片を作製し注入部位を組織学的に確認した。【結果】D1受容体拮抗薬では、嚥下回数は注入前と注入後を比較して有意差がみられなかった。D2受容体拮抗薬では、嚥下回数は注入前と比較して注入10分後から25分後に有意に減少した。嚥下開始時間は、注入0分後と40分後に有意に短くなった。【考察】大脳基底核の間接路が、嚥下反射に関与している可能性が考えられた。会員外共同研究者:辻光順(元日本歯科大・新潟・生理学)【利益相反】利益相反状態にはありません。