第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P2-3-18] i-GONAD法によるヒト疾患モデルマウス・ラットの作製と、高解像度融解曲線(HRM)解析を用いた迅速な選別法と遺伝子型判定法

〇青戸 一司1 (1. 浜医大 医 医化学)

キーワード:ゲノム編集、i-GONAD法、高解像度融解曲線(HRM)解析

これまでに我々は、CRSPR-Cas9ゲノム編集法とエレクトロポレーション法を組み合わせたマウス作製法(In vitro electroporation法、i-GONAD法)を用いて、35遺伝子、50系統を超えるヒト疾患モデルマウスおよびラット(Takabayashi, Sci. Rep.2018, Aoto, Int. J. Mol. Sci. 2022)を作製し、ヒト疾患原因遺伝子の機能解析を行ってきた(Aoto, Nat. Comm.2021, Mutoh, J. Neuro. Res. 2022)。
今回脳の海馬で発現し、記憶・学習に関わり、知的障害と発達遅滞を示す患者でde novo変異を同定した(Akita*, Aoto*, Ann. Cli. Transl. Neurol. 2018)、II型カルシウム/カルモジュリン依存性タンパク質リン酸化酵素(CaMKIIα、CaMKIIβ)について、AlphaFold2によるタグ挿入位置としてタンパク質構造予想の後、i-GONAD法によりFlagタグの挿入マウスを作製した。これらのマウスでは、市販の抗体で免疫組織染色、ウェスタン・ブロット、免疫沈降法が行えるため、特異抗体のない標的タンパク質の解析に有効と考えられる。
また、ゲノム編集による動物・細胞モデルの作製や解析において、置換やインデルの選別や遺伝子判定は必須のステップである。そこで、作製した疾患モデルマウス・細胞の未知変異の迅速な選別と既知変異の遺伝子判定のためのhigh-resolution Melting (Melt) PCRを確立した。この方法は、gRNA選別、一塩基多型(SNP)のチェック、マウスの遺伝子型判定、編集用細胞株の選別とクローニングに活用でき、迅速(2時間以内)、高感度で、コスト効率の高い、1塩基以上の違いを見分けられる方法である。