第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P2-3-30] Porphyromonas gingivalis 由来LPSの慢性投与で発症する心機能障害に対する心臓型アデニル酸シクラーゼの抑制効果

〇角田 通則1、大貫 芳樹2、吹田 憲治2、松尾 一郎1、早川 佳男3、清本 賢一1、森井 彰仲1、成山 明具美4、五味 一博1、奥村 敏2 (1. 鶴大 歯  歯周病、2. 鶴大 歯 生理、3. 鶴大 歯 麻酔、4. 鶴大 歯 小児歯 )

キーワード:PG-LPS、抗ウィルス薬ビダラビン、AC5

【目的】抗ヘルペス薬ビダラビン(Vid)は心臓型アデニル酸シクラーゼを選択的に阻害することで、心臓保護効果を示す。本研究では歯周病患者の血液中から検出されるPorphyromonas gingivalis 由来Lipopolysaccharide(PG-LPS)の濃度と同等の歯周病モデルマウスを作製し、PG-LPSによる心機能障害に対するVidの心臓保護効果を検討した。
【方法】C57BL/6/Jマウス(オス12週齢)を、1) PBS投与群(Control群)、2) PG-LPS (0.8mg/kg/day:腹腔内投与) 投与群 (LPS群)、3)ビダラビン投与群(15mg/kg/day:浸透圧ポンプ投与:Vid群)、4) LPSとビダラビンの併用投与群 (LPS+Vid群) の4群に分けた。Vidの投与はLPS投与開始3日前に開始し、LPS投与開始から7日後に心エコーにて心機能測定を行った。実験終了後に心臓を摘出し、心筋線維化領域、アポトーシス陽性細胞数、心機能制御に関わるシグナル伝達を評価した。
【結果】Control群と比較しLPS群では有意に心機能の低下、心筋線維化領域の増加、アポトーシス細胞数の増加が起きたが、LPS+Vid群でそれらは有意に抑制された。また、p-calmodulin kinase II (Thr286)、p-phospholamban (Thr17)はLPS群で有意に増加したが、LPS+Vid群でそれらの増加は有意に抑制された。
[結論] PG-LPSの投与による心機能障害はビダラビンの投与により抑制された。この結果は心臓型アデニル酸シクラーゼが歯周病に合併する心疾患の発症に重要な役割を果たすことを示唆している