第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月18日(月) 08:30 〜 15:50 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P3-2-02] 骨代謝に対する酒粕の調節機能の解析

〇柿原 嘉人1、岡本 圭一郎2、山村 健介2 (1. 新潟大 院医歯 歯科薬理、2. 新潟大 院医歯 口腔生理)

キーワード:骨粗鬆症、骨代謝、酒粕

健康な骨を維持するためには、破骨細胞と骨芽細胞の活性のバランスが重要である。日本では、骨粗鬆症の患者数は全人口の約10%と推定されており、薬物による治療法が確立されているが、長期投与による問題点の指摘もある。そこで、本研究では、骨粗鬆症を予防する食品素材の探索と開発を目的とし、酒粕(SL)または、酒粕エキス(SLE)が骨芽細胞や破骨細胞の分化および骨代謝に及ぼす影響について検討した。 前駆骨芽細胞(MC3T3-E1)を、SLEの存在下または非存在下で培養した。骨芽細胞分化は、アルカリホスファターゼ(ALP)染色、ピクロシリウスレッド染色、ヒドロキシプロリンアッセイ、アリザリンレッドS染色、ウェスタンブロット解析により評価した。SLEは、MC3T3-E1細胞のALPレベル、コラーゲン産生、成熟、ミネラル化を有意に増加させた。また、破骨細胞分化に対するSLEの影響を、前駆破骨細胞(RAW264.7)を用いて検討した。TRAP染色による評価で、SLEは破骨細胞分化を有意に抑制することが明らかになった。 In vivo試験では、12週齢の雌性C3H/HeJマウスを使用し、卵巣摘出(OVX)または偽手術を行い、通常の餌、またはポジティブコントロールとして20% SL、40% SL、またはイソフラボンを含む餌を4週間与えた。大腿骨遠位部の骨微細構造を評価するために、micro-CT解析を行った。通常食を与えたOVXマウスと比較して、SL(20%および40%)を与えたマウスは、骨梁数がわずかに増加し、骨梁体積および骨梁幅が有意に増加した。 これらの結果より、酒粕が骨芽細胞の活性化と破骨細胞の抑制を通じて、骨粗鬆症の骨梁維持に良好な効果を及ぼすことが明らかになった。