第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月18日(月) 08:30 〜 15:50 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P3-2-16] 糖原病 1b 型の責任遺伝子 SLC37A4 は歯肉上皮層のバリア機能に関与する

〇谷垣 慶太1、加藤 祐太1、山賀 俊介1、中村 恵理子1、竹内 洋輝1、天野 敦雄1 (1. 阪大 院歯 予防歯)

キーワード:歯周病、歯肉上皮、糖原病 1b 型

【背景】
 糖原病 1b 型は、Solute Carrier Family 37 Member 4SLC37A4)遺伝子の欠損による先天性疾患であり、糖新生とグリコーゲンの分解が障害される。また、本疾患は歯周病を随伴することが報告されている。しかし、その分子基盤には不明な点が多い。本研究では、歯肉上皮細胞のタイトジャンクション関連タンパクに焦点を当て、SLC37A4 が歯肉上皮のバリア機能に及ぼす影響を調べた。

【方法】
 SLC37A4 遺伝子に対するshRNA を発現するヒト歯肉上皮細胞を作成し、タイトジャンクション関連タンパクjunctional adhesion molecule 1 (JAM1)の局在を共焦点顕微鏡、JAM1 遺伝子の発現をリアルタイムPCR 法、およびJAM1 タンパク量をウェスタンブロット法で観察した。
 歯肉上皮細胞層の異物透過性を調べるため、上記細胞をセルカルチャーインサート上で単層培養し、lipopolysaccharide (LPS) およびpeptidoglycan (PGN) からなる蛍光トレーサーをインサート上部の培地に添加した。30 分後、インサート下部の培地に透過したトレーサー量を分光光度計で測定した。

【結果】
 SLC37A4 の発現を抑制した歯肉上皮細胞において、JAM1 のmRNA 量およびタンパク量が減少し、歯肉上皮細胞層のLPS およびPGN に対する透過性が亢進した。この透過性の亢進は、JAM1 の過剰発現により抑制された。以上の結果より、SLC37A4 はJAM1 の発現を介し、歯肉上皮細胞のバリア機能を制御することが示唆された。