[P3-2-33] Pathogenicity of Porphyromonas gingivalis to mouse lung
Keywords:Porphyromonas gingvalis、誤嚥性肺炎、TNF-α
【背景】誤嚥性肺炎は高齢者の一般的な死因であり、慢性炎症を引き起こす。誤嚥性肺炎の起因菌としてPorphyromonas gingvalis (P.g.菌)が分離され、病態と関わっていると考えられているが、菌体構造のいずれかに病原性があるかはまだ解明されていない。本研究ではマウスを用いた経気道感染によるP.g.菌の誤嚥性肺炎モデルを確立した。本モデルを用い線毛タイプが異なる株による肺、血清における炎症性サイトカインを解析、比較した。【方法】誤嚥性肺炎を誘発するためにマウスにP.g.菌をリン酸緩衝生理食塩水に懸濁し、気管内投与した。マウスによる生存率を確認後、感染1日後の血液と肺を採取し、血清、肺胞洗浄液および病理切片を保管した。ELISAを用いて、炎症性サイトカインの発現を解析した。qPCRを用いてmRNAの発現を解析した。肺組織のHE染色による病理組織学評価をした。P.g.菌はATCC33277株、1439株を使用し比較した。【結果】確立した誤嚥性肺炎モデルを利用し、菌株間での生存率の差を観察した。P.g.菌感染によって肺胞洗浄液における炎症性サイトカインの発現が増加した。肺胞洗浄液ではTNF-α、IL-1βおよびIL-6の産生が認められた。一方血清では誘導が弱いかほとんど認められなかった。肺の病理組織において出血、炎症性細胞の浸潤および気管支の肥厚が認められた。菌株間でTNF-α、IL-1βの産生に1439株で高値の傾向が認められた。【考察】血清で炎症性サイトカインの誘導が認められなかったことから、炎症は全身ではなく局所的であると考えられる。同じP.g.菌でも株によって肺に対する病原性に差が存在することが示唆された。今後、線毛タイプの異なる株を用い病原性の所在を明確化し、口腔内のP.g.菌から肺炎リスクの判定が出来るよう検討を行っていく。