[P3-2-38] Fusobacterium nucleatum exacerbates COPD in elastase-induced emphysematous mice
Keywords:歯周病、Fusobacterium nucleatum、COPD
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症や増悪に歯周病が関与していることが疫学研究により報告されている。また、COPD増悪患者の喀痰から歯周病原菌Fusobacterium nucleatumが検出され、さらにF. nucleatumに対する抗体が検出されることから、F. nucleatumがCOPDの増悪に関与している可能性がある。そこで、我々はCOPDモデルマウスとして気腫モデルマウスを作製し、F. nucleatumの誤嚥がCOPDの重症化に及ぼす影響を検討した。C57BL/6Jマウスにブタエラスターゼを経気道投与後3週間飼育し、気腫モデルマウスを作製した。気腫モデルマウスおよびコントロールマウスにF. nucleatum死菌もしくはPBSを7日間連続投与し、投与後1、3、7、42日目に解析した。投与後42日目の平均肺胞隔壁間距離(Lm)を測定した結果、気腫モデルマウスにおけるF. nucleatum投与群では、PBS投与群に比べLm値が著しく増大していた。一方コントロールマウスにおいては、F. nucleatum投与群とPBS投与群間に有意な差を認めなかった。また、ムチンを産生する杯細胞数を測定したところ、気腫モデルマウスにおけるF. nucleatum投与群では、他の群に比べ有意に増加していた。さらに、気管支肺胞洗浄液中の好中球などの細胞数を測定した結果、気腫モデルマウスにF. nucleatumを投与した群では、他の群に比べ有意に増加していた。肺胞の破壊に関与するMMP-12などの肺における発現をWestern blotにて解析した結果、気腫モデルマウスおよびコントロールマウスにF. nucleatumを投与した群では発現の増加を認めた。以上の結果から、COPDの重症化にF. nucleatumが関与している可能性が示唆され、歯周病がCOPD増悪のリスク因子となる可能性の一端を明らかにした。