[P3-3-02] Exploration of the function as a glucose sensor of GPRC5 Family
Keywords:Gタンパク質共役型受容体、グルコース、味蕾
末梢味覚器や全身の臓器では、栄養素の感知に種々のGタンパク質共役型受容体(GPCR)が関与している。特に、糖を含む甘味物質の感知にはclass c GPCRであるTAS1Rs(TAS1R2 + TAS1R3)の関与が明らかとなっている。本研究では、新たにGPRC5ファミリーに着目し、味覚器を含む様々な臓器における発現と、機能解析を試みた。GPRC5ファミリーはTAS1Rsと同じclass c GPCRに属するが、その発現や機能に関してはあまり研究が進んでいない。今回行った遺伝子発現解析の結果、4つのGPRC5ファミリーのうち、GPRC5Cがマウス舌有郭乳頭、膵島、小腸等の臓器で比較的強く発現していることがわかった。次に、GPRC5Cの遺伝子をクローニングし、キメラGタンパク質(Gα16-gust44)とともに遺伝子導入したHEK293細胞を用いて細胞内カルシウム濃度アッセイを行った。その結果、遺伝子導入を行ったHEK293細胞では、単糖類(グルコース、フルクトース、ガラクトース)、二糖類(スクロース、マルトース)、糖アルコール(ソルビトール)刺激に対し一過性の強いカルシウム濃度上昇が観察されたが、甘味を呈するアミノ酸(D-フェニルアラニン)および人工甘味料(SC-45647)には全く反応しなかった。全てのカルシウム応答は、刺激溶液還流中ではなく、ウォッシュ後、約1分のタイムラグをおいて始まることがわかった。以上の結果から、GPRC5Cは舌を含む様々な器官において、細胞外の糖濃度変化を感知する化学受容体として機能している可能性が示唆された。