[P3-3-08] ラット唾液腺支配の上唾液核ニューロンに対するドーパミンの影響
キーワード:顎下腺・舌下腺、上唾液核ニューロン、ドーパミン
【目的】唾液は味覚発現において重要な役割を果たしているが、その分泌調節機構には不明な点が多い。例えばおいしそうな食べ物を見ると、味覚刺激が無いにもかかわらず唾液が出る経験をしたことがないだろうか。食べ物を獲得しようとするとき脳内ドーパミン(DA)濃度が高まることから、唾液分泌神経にDAが作用する可能性が考えられる。本研究は、ラット顎下腺・舌下腺の副交感神経の一次中枢である上唾液核(SSN)ニューロンにおいてDAの影響を検討することを目的とした。【方法】SSNニューロンを逆行性にデキストランテキサスレッドで蛍光標識した後に脳スライス標本を作製し、標識ニューロンからホールセルパッチクランプ法で記録することにより、DAをバス投与したときの膜電位または膜電流を解析した。また標識ニューロンに発現するDA受容体を免疫組織化学的に解析した。【結果と考察】DAの投与によりSSNニューロンは脱分極または活動電位を発生したが、過分極を示すものもあった。興奮性応答に注目し、保持電位-60 mVでD1様受容体(D1とD5受容体)アゴニストのSKF38393を投与したところ、多くのニューロンが内向き電流を発生した。しかし微小興奮性シナプス後電流の発生頻度はほとんど影響を受けなかった。標識ニューロンにおいてD1およびD5受容体に対する免疫活性が示された。従って、DAによる興奮作用は主にシナプス後膜のD1およびD5受容体を介すると考えられた。