[P3-3-11] 咬合不調和によって誘発される認知能の抑制作用
キーワード:中枢神経、加齢、老化
【目的】近年、歯や歯周組織病変と認知能との関連性に関して多数報告されている。しかしながら、義歯の使用による咬合支持により認知症の発症の危険リスクを軽減できるという報告は存在するが、機序を含めて明確な医学的実証を示すまで至っていない。そこで、今回アルツハイマー型認知症モデルマウスを用い咬合不調和の認知能低下の危険因子の可能性を探索し、歯の喪失による咬合不調和後の認知能との相関性を明らかにすることを目的とした。
【方法】2ヶ月、4ヶ月及び既にアルツハイマー型認知症とみなされる6ヶ月齢のアルツハ イ マ ー 型 認 知 症 (AD)モ デ ル マ ウ ス(家族性アルツハイマー型認知病変異のArctic変異を加えた3重変異のノックインマウス(C57BL/6-App; AppKI(3))とそのコントロール (C57BL/6-App; AppKI(1))マウスを用いた。上記モデルマウスを、コントロール群、抜歯後1ヶ月経過群、抜歯後咬合支持回復1ヶ月群の3群に分け、脳切片を用いてアルツハイマー型認知症関連分子の発現変化と局在について評価を行った。また、8方向性迷路試験と新奇物質探索試験による行動科学的試験により認知能を評価した。
【結果】ADモデルマウスの抜歯後の三叉神経中脳路核及びその周辺部でのAD関連分子の発現について調べたところ、6ヶ月齢においてさえもAmyloid-betaやリン酸化Tauの発現はほとんど認められなかった。しかしながら、6ヶ月齢ADマウスの抜歯1ヶ月後に海馬CA3領域に局在してリン酸化Tauの発現が認められた。また、2,4ヶ月齢のコントロール及びADモデルマウスの抜歯後に認知能低下に由来する行動科学的変化が認められた。以上より、抜歯後の海馬領域でのリン酸化Tauの発現が認知能低下に関連する可能性があることが示唆された。
【方法】2ヶ月、4ヶ月及び既にアルツハイマー型認知症とみなされる6ヶ月齢のアルツハ イ マ ー 型 認 知 症 (AD)モ デ ル マ ウ ス(家族性アルツハイマー型認知病変異のArctic変異を加えた3重変異のノックインマウス(C57BL/6-App; AppKI(3))とそのコントロール (C57BL/6-App; AppKI(1))マウスを用いた。上記モデルマウスを、コントロール群、抜歯後1ヶ月経過群、抜歯後咬合支持回復1ヶ月群の3群に分け、脳切片を用いてアルツハイマー型認知症関連分子の発現変化と局在について評価を行った。また、8方向性迷路試験と新奇物質探索試験による行動科学的試験により認知能を評価した。
【結果】ADモデルマウスの抜歯後の三叉神経中脳路核及びその周辺部でのAD関連分子の発現について調べたところ、6ヶ月齢においてさえもAmyloid-betaやリン酸化Tauの発現はほとんど認められなかった。しかしながら、6ヶ月齢ADマウスの抜歯1ヶ月後に海馬CA3領域に局在してリン酸化Tauの発現が認められた。また、2,4ヶ月齢のコントロール及びADモデルマウスの抜歯後に認知能低下に由来する行動科学的変化が認められた。以上より、抜歯後の海馬領域でのリン酸化Tauの発現が認知能低下に関連する可能性があることが示唆された。