[P3-3-22] マウス刺激脾細胞のインターロイキン-2およびインターロイキン-10産生におよぼすベンゾジアゼピン受容体リガンドの効果
キーワード:ミダゾラム、ベンゾジアゼピン受容体、インターロイキン-10
【目的】我々は鎮静薬のミダゾラムが、マウス脾細胞のインターロイキン (IL)-2およびIL-10産生能を特異的に抑制することを明らかにしている。本研究では、ミダゾラムの効果がベンゾジアゼピン受容体(BZPR)を介するかを検討するため、中枢型および末梢型BZPR拮抗薬を用いてミダゾラムのIL-2およびIL-10産生抑制効果に対する影響を観察した。【方法】中枢型BZPR拮抗薬としてフルマゼニルを、末梢型BZPR拮抗薬としてPk11195を用いた。脾細胞はC3H/HeN系雄マウスから単離し、抗マウスCD3抗体を用いて刺激してミダゾラムとBZPR拮抗薬を含んだ培養液中で37℃,5%CO2存在下にて48時間培養した。【結果と考察】刺激脾細胞のIL-2およびIL-10産生能に対するミダゾラムの抑制効果は、いずれもごく低濃度の0.2μg/mlから認められ、5μg/mlではミダゾラム未添加の場合の約5% (IL-2) ~20% (IL-10) にまで低下した。本培養系にフルマゼニル(0.15~75μM) を添加した場合でも、対照群(溶媒であるDMSOのみを添加)と同程度のIL-2およびIL-10産生が観察され、ミダゾラムの効果は解消されなかった。一方、Pk11195(0.15~75μM)をミダゾラムを含む培養系に添加した場合もミダゾラムの効果は解消されず、むしろ、IL-2およびIL-10産生はPk11195の濃度依存的にさらに低下した。Pk11195濃度依存的な IL-2およびI-10産生低下は、ミダゾラム未添加の場合でも観察された。以上の結果から、ミダゾラムによるIL-2およびI-10産抑制効果はBZPRを介すものではないこと、さらにこれとは別に脾細胞のIL-2およびIL-10産生の調節には、末梢型BZPRが関与する経路が存在す可能性が指摘できた。