[P3-3-23] Streptococcus sanguinis 膜小胞が血管内皮細胞に及ぼす影響
キーワード:Streptococcus sanguinis、膜小胞、HUVEC
Streptococcus sanguinisは口腔常在菌の一種であるが、高脂血症マウスに経口投与すると大動脈に作用し炎症を誘導するとともに、アテローム性プラークの形成を促進することをこれまでに報告している。また、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)をS. sanguinisで刺激すると、細胞接着因子の遺伝子レベルでの発現増加や炎症性サイトカインの産生増加が認めらたことを本学会で報告した。一方、細菌は他の細菌との相互作用のために膜小胞(membrane vesicle)を放出していることが知られている。膜小胞には様々な病原因子が含まれているが役割については不明な点が多い。そこで、本研究ではS. sanguinisが放出する膜小胞が血管内皮細胞へ及ぼす影響について解析を加えた。一晩培養したS. sanguinisの培養上清を回収し、超遠心により沈査を回収した。PBSで洗浄後、沈査をPBSに懸濁した。この懸濁液についてSDS-PAGE分析、タンパク質量の定量を行いS. sanguinis膜小胞として用いた。S. sanguinisの菌体あるいはS. sanguinisの膜小胞を濃度を変えHUVECに添加し20時間培養後、培養上清とRNAを回収し、炎症関連因子の発現についてリアルタイムPCR法とELISA法で解析を行った。その結果、S. sanguinis菌体あるいはS. sanguinis 膜小胞で刺激したHUVECではTLR2のmRNAの発現が増加した。また、S. sanguinis膜小胞による刺激により、HUVECで単球遊走に関わるMCP-1の産生量が増加し、細胞接着因子の一つであるICAM-1のmRNAの発現が増加した。これらのことから、S. sanguinis菌体およびS. sanguinis膜小胞は血管内皮細胞の受容体に認識され、血管内皮細胞で炎症反応を誘導する可能性が示唆された。