[P3-3-27] 多線毛細胞における細胞質Dynein阻害剤の線毛運動への効果の検討
キーワード:線毛、ダイニン、阻害剤
【目的】気道上皮や脳室を覆う上衣細胞は運動線毛をもち、液相の流れを形成することで、感染防御や正常な脳脊髄液の流動に重要である。線毛運動は、線毛内の微小管に存在するモータータンパク質である軸糸Dynein (内腕、外腕Dynein) によって担われる。細胞質Dynein阻害剤としてCiliobrevin D (IC50: 15 μM) が報告され、その後、構造活性相関研究からより強い阻害剤としてDynapyrazole A (IC50: 2.5 μM) が見出されたが、軸糸Dyneinへの効果は不明である。本研究ではこれらの細胞質Dynein阻害剤の線毛運動に対する効果を検討した。
【方法】マウス全脳から調製した脳室上衣線毛細胞に対し、Ciliobrevin DおよびDynapyrazole Aを0.1-100 μMの濃度で10分間処理し、その後阻害剤を除いて再還流を行った。線毛運動を高速度カメラで撮影し、周波数 (CBF) および振幅 (CBD) を算出した。
【結果・考察】CBFに対し、Ciliobrevin D (IC50: 31 μM) とDynapyrazole A (IC50: 34 μM) は同程度の阻害活性を示した。CBDには、Ciliobrevin D (IC50: 112 μM) がDynapyrazole A (IC50: 201 μM) よりも高い阻害活性を示した。細胞質DyneinではDynapyrazole Aがより強力な阻害活性をもつが、軸糸DyneinではDynapyrazole Aの優位性は認められなかった。両阻害剤共に、CBDよりもCBFに対して強く阻害活性を示した。CBFは内腕Dynein、CBDは外碗Dyneinによって運動調節がなされており、両者の構成サブユニットや構造の違いが示唆されていることから、各Dyneinの構造が阻害活性に影響する可能性が考えられた。
【方法】マウス全脳から調製した脳室上衣線毛細胞に対し、Ciliobrevin DおよびDynapyrazole Aを0.1-100 μMの濃度で10分間処理し、その後阻害剤を除いて再還流を行った。線毛運動を高速度カメラで撮影し、周波数 (CBF) および振幅 (CBD) を算出した。
【結果・考察】CBFに対し、Ciliobrevin D (IC50: 31 μM) とDynapyrazole A (IC50: 34 μM) は同程度の阻害活性を示した。CBDには、Ciliobrevin D (IC50: 112 μM) がDynapyrazole A (IC50: 201 μM) よりも高い阻害活性を示した。細胞質DyneinではDynapyrazole Aがより強力な阻害活性をもつが、軸糸DyneinではDynapyrazole Aの優位性は認められなかった。両阻害剤共に、CBDよりもCBFに対して強く阻害活性を示した。CBFは内腕Dynein、CBDは外碗Dyneinによって運動調節がなされており、両者の構成サブユニットや構造の違いが示唆されていることから、各Dyneinの構造が阻害活性に影響する可能性が考えられた。