[P3-3-30] 寒天とゼラチンゼリーの力学的性質とヒトにおける硬さおよび弾力性感覚との相関
キーワード:食感認知、口腔内触圧感覚、食品テクスチャー
食感は口腔内の歯根膜および口腔粘膜の機械受容器により受容された触圧刺激により生じる感覚である。しかし、食品のもつどのような力学的性質がヒトの食感を引き起こすかは不明である。本研究では、寒天とゼラチンゼリーを用いて、圧縮破断試験により得られた力学的性質とヒトの硬さおよび弾力性感覚との相関関係を調べることを目的とした。水またはリンゴジュースに寒天(1、2、3%)とゼラチン(4、8、16%)を加え、濃度の異なる寒天およびゼラチンゲル各3種類を試験食材として用いた。圧縮破断試験では、円盤型プランジャーを用いて圧縮速度10mm/sで一軸圧縮し、得られた応力歪み曲線から、破断応力、破断歪、破断時間(圧縮開始から破断までの時間)、初期弾性係数、後期弾性係数を算出した。感覚評価は健康なボランティア12名を対象とし、視覚的アナログスケール(VAS)を用いてゲルの硬さ、弾力性、嗜好性の評価を行った。寒天とゼラチンゼリーの両方において、硬さ感覚と弾力性感覚は有意に正に相関していた。また、両ゼリーにおいて、硬さ感覚と嗜好性には有意に負の相関が認められた。力学的性質と感覚の相関については、硬さ感覚は初期弾性係数のみと有意に正に相関し、弾力性感覚は後期弾性係数および、破断歪率、破断応力、破断時間と有意に正の相関が認められた。以上の結果から、舌口蓋および歯牙によるゼリーの圧縮破断過程において、硬さ感覚は圧縮初期、弾力性感覚は圧縮後期および破断時に生じる可能性が示唆された。