[P3-3-31] 一酸化炭素の応用による血小板機能制御と形態変化
キーワード:血小板、lipopolysaccharide 、一酸化炭素
【背景】必要なときに必要な量の血小板を高い品質を担保したまま供給することは、世界中から切望されている課題である。近年、一酸化炭素(CO)などの内因性生理活性ガスの臨床応用が期待されているが、国内外において、血小板保存へと応用した報告はない。本研究は、lipopolysaccharide (LPS)で血小板を刺激して活性化の状態を再現し、さらにCOを含有した血小板保存液にて血小板への効果を検討した。 【方法】血小板保存液(PAS液)は「ACD-A液:Bicanate液= 1:20」を用いて調整し、PAS(CO-Dissolve)液は「ACD-A液:Bicanate液= 1:20」とCOを1:1の比率で1時間以上浸透し作成した。10単位の研究用血小板製剤 (採血後1〜2日経過) を分注し、遠心(900g/5分)後、全容量の65%分の血漿を除去し、同量のPAS液・PAS(CO-Dissolve)液を添加した。さらに24℃で30分間浸透し、血小板を評価した。評価の指標として、透過型電子顕微鏡(JEM-1400 PLUS)・走査型電子顕微鏡・フローサイトメーター(BD FACS LyricTM)を用いた。さらに、全身への影響を見るため全身炎症モデルマウスを作成し全血中の血小板の変化を検討した。 【結果】血小板は活性化する時、α顆粒膜GPⅡb/Ⅲaが放出反応に伴って表面膜へ移動することが知られている。今回、COを溶存した群において、α顆粒膜GPⅡb/Ⅲaの表面膜への移動が抑制されていることが認められた。さらに、全身炎症モデルマウスにおいて、全血中の血小板の数に変化は見られなかったが、2時間後にSaline投与した群と比較してCO溶存群では、P-selectinの抑制が認められた。 【結論】血小板保存液にCOを溶存させることで、血小板の活性化を防止し、新たに有効な保存法になり得る可能性がある。(COI:なし)