[P3-3-32] 多機能生体分子であるCXCL14の脳組織でのタンパク質の検出と分子サイズの検討
キーワード:ケモカインCXCL14、脳組織、分子修飾
【緒言】 CXC型のケモカインCXCL14(BRAK)は多段階•多機能癌抑制分子であることを野生型マウスの10倍CXCL14を発現するトランスジェニックマウスを用いて明らかにしてきた。RT-PCR 法によりCXCL14 mRNAの量が大脳において高いことから、脳の各部位におけるmRNAの発現と同時にタンパク質の発現を調べた。 【方法】 マウスの大脳、海馬、延髄、小脳からmRNAを抽出し、RT‐PCR法にてそれぞれの脳組織のCXCL14のmRNAの発現について解析した。また、それぞれの脳組織からタンパク質を抽出し、Western Blot(以下WB)法でCXCL14タンパク質を検出・解析した。 【結果】 全ての脳組織でCXCL14のmRNAの高い発現が確認された。この結果を受け、組織からタンパク質を抽出し、CXCL14の発現をWB法で解析したところ、全ての脳組織でCXCL14の発現を示すバンドが確認された。興味あることに、その泳動位置はコントロールとして用いたバクテリアで合成されたリコンビナントCXCL14タンパク質の泳動された分子サイズの13Kではなくおよそ2倍の27Kであった。 【考察】 生体内のタンパク質は本来の構造に何らかの分子が付加されることで新しい機能を示すことがあるが、今回、脳組織の異なる部位から抽出したCXCL14がリコンビナントで得られたCXCL14と分子サイズが倍ほども異なることから、脳に発現したCXCL14は何らかの分子の修飾を受け機能を発揮している可能性が考えられた。脳の異常活動によって発作が引き起こされるてんかん患者の血液中にCXCL14の高い発現がみられる症例があることからも修飾を受けることで神経機能に関与している可能性が考えられた。