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[US10-06] 歯科疾患からの自己免疫メカニズムの解明を目指して
キーワード:自己免疫、自己抗体、B細胞
自己の正常な細胞や組織に対して生じる免疫反応は自己免疫と呼ばれ、自己抗体が産生されることが特徴の一つです。自己抗体の存在は免疫寛容の破綻を示唆し、自己免疫疾患を始めとする異常な免疫反応下において産生が認められます。自己抗体産生を含む自己免疫メカニズムの解明は、自己免疫疾患の根治的治療にも繋がるため、その機序の解明が待ち望まれています。本研究では、どのような免疫細胞(B 細胞)が自己抗体を産生するのか、自己抗体産生のメカニズムと共に歯科疾患を通じて解明を目指します。 われわれはこれまでに、特に自己抗体の産生を認める病的な環境下では、健常者では認められない特殊なB細胞が増加し、多岐に渡る疾患において病態形成に関与することを報告してきました。これらの特殊なB細胞は、リンパ器官において濾胞外という特徴的な経路で活性化され、他のB細胞と比較して抗体産生能が高いなどの特異な性質を持つことが分かってきました。このような異常経路で活性化された細胞群の一部が、自己抗体産生に関与するのではないかと仮説を元に研究計画を立案するに至りました。 口腔領域の臓器は、他臓器に比較し体表に近く、直接観察しやすいという利点があります。われわれはこれらの臓器を用いて、口腔領域に症状が現れる歯科疾患から、自己免疫メカニズムの解明に取り組んでいます。この研究により自己免疫メカニズムの一端を明らかにする成果を得られれば、自己抗体産生を特徴とする多くの疾患に適応可能な、画期的治療法開発への道が歯科から開くことができると考えており、その駆け出しの研究の一部をご紹介させていただきます。