9:00 AM - 9:30 AM
[US4-01] Effects of vitamin C deficiency on sour taste preferences, lick rates, chorda tympani nerve responses, and taste-related genes
Keywords:酸味、摂取行動、ビタミンC
動物は酸味を利用して、腐敗した食物を忌避したり、ビタミンやミネラルを含む食物を選択すると考えられている。本研究では、アスコルビン酸(ビタミンC;VC)欠乏時の酸に対する応答を調べるため、ヒト同様にVC合成能がないOsteogenic Disorder Shionogi/Shi Jcl-od/odラットを用いて行動学的、神経科学的、解剖学的、分子生物学的実験を実施した。48時間2瓶選択実験(3 mMクエン酸または10 mM VCと蒸留水)の結果、VC欠乏時では、これら酸味溶液に対する嗜好率(=酸味溶液摂取量÷総摂取量×100)が、VC充足時よりも高くなっていた。また、酸味溶液[VC、クエン酸、酢酸、酒石酸、塩酸]に対するリック率(=各種溶液のリック数÷蒸留水のリック数×100)は、VC欠乏前及びVC再摂取後と比べて、VC欠乏時は有意に高かった。次に、VC欠乏ラットとVC充足ラットの各酸に対する末梢味覚器での電気生理学的応答を評価するために、鼓索神経応答解析を行った。その結果、VC、クエン酸、酢酸、酒石酸及び塩酸に対する神経応答は、VC欠乏ラットでは、VC充足ラットに比べ、有意に低下していた。また、単位面積当たりの茸状乳頭味蕾数は、VC欠乏ラットとVC充足ラットとの間に有意差はなかった。しかし、VC欠乏ラットの茸状乳頭味細胞における一部の味覚関連分子(Gnat3, Trpm5, Tas1r1, Car4, Gad1)のmRNA発現レベルは、VC充足ラットのものと比べて有意に低かった。以上の結果から、VC欠乏により、酸に対する忌避行動は減少し、酸に対する鼓索神経応答が低下することが示唆された。また、VC欠乏により、茸状乳頭味細胞において、いくつかの味覚関連遺伝子はダウンレギュレートされるが、酸味受容体(OTOP1等)のmRNA発現量は、VC欠乏による影響を受けない可能性も示した。