The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Symposium

US5

「口腔顔面領域の疼痛とそれに伴う皮質内の可塑性・神経変性」

Sun. Sep 17, 2023 2:20 PM - 3:50 PM B会場 (123講義室)

座長:豊田 博紀(阪大 院歯 口腔生理)、山本 清文(日大 歯 薬理)

3:04 PM - 3:26 PM

[US5-03] Mechanisms of synaptic plasticity in the anterior cingulate cortex for chronic pain

〇Kohei Koga1 (1. Dept Neurophysiol, Hyogo Med Univ)

Keywords:慢性疼痛、前帯状回、シナプス可塑性

痛みの情報は、末梢から脊髄を介して上位中枢へと伝わる。痛みに関連する主な上位中枢として、視床、扁桃体、島皮質、前帯状回などがこれまでのヒトのイメージング法によって明らかとなっている。中でも、前帯状回は、慢性疼痛を構成する感覚入力の身体的要因と不安やうつに代表される負の情動などの心因的要因の両要因に重要な役割を果たす脳領域である。また、三叉神経や下肢における慢性疼痛モデル動物を用いた研究においても、前帯状回のシナプス伝達において可塑的な変化を示すことが明らかになっている。 炎症や神経損傷による慢性疼痛モデルマウスの前帯状回では、グルタミン酸受容体を介した興奮性シナプス伝達が増強するが、このシナプス可塑性を形成する投射選択的なシナプス伝達については不明である。前帯状回に投射する主な脳領域は、視床、扁桃体、島皮質があり、これらの脳領域は全て慢性疼痛に関わる。従って、電気生理学的手法であるホールセルパッチクランプ記録に光遺伝学を組み合わせて、慢性炎症性疼痛モデルマウスの前帯状回第II/III層の錐体細胞において投射選択的なシナプス可塑性が形成されるかを調べた。次に、マイクロアレイ法による網羅的解析法を用いて、慢性疼痛モデルの前帯状回で増加する候補因子をmRNAレベルで測定した。さらに、慢性疼痛モデルによるシナプス可塑性と候補因子の関係を調べた。最後に、候補因子の阻害薬を前帯状回に局所投与した時に慢性疼痛モデルによる感覚過敏行動と嫌悪行動が緩和されるかについて行動薬理学的手法を用いて調べた。