The 65th Annual Meeting of Japanese Association for Oral Biology

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Symposium

US5

「口腔顔面領域の疼痛とそれに伴う皮質内の可塑性・神経変性」

Sun. Sep 17, 2023 2:20 PM - 3:50 PM B会場 (123講義室)

座長:豊田 博紀(阪大 院歯 口腔生理)、山本 清文(日大 歯 薬理)

3:26 PM - 3:48 PM

[US5-04] Circuit type-dependent synaptic plasticity in the motor cortex during motor skill learning

〇Jaerin Sohn Sohn1 (1. Dept Syst Anat Neurobiol, Osaka Univ Grad Sch Dent)

Keywords:大脳皮質、神経回路、シナプス可塑性

動物は学習を通して外的環境に適応する。その際、脳内において神経回路の再編成が行われるが、それにはシナプスの可塑的変化が伴う。運動学習時には、大脳皮質第一次運動野(M1)において新たにシナプスが形成されることがわかっているが、それがどの神経回路の変化を捉えているのかについては不明瞭であった。そこで我々は、大脳皮質への入力回路、すなわち皮質-皮質間(CC)結合と視床–皮質間(TC)投射の2つを区別し、運動学習中にはそれぞれが異なる動態を示すことを明らかにした。大脳皮質第5層錐体細胞が蛍光蛋白質で標識された遺伝子改変マウスを用い、前肢での運動学習課題を与えた。同時に、蛍光標識された錐体細胞の樹状突起を2光子顕微鏡下で生体観察した。錐体細胞の樹状突起には棘突起と呼ばれるシナプス後構造が観察でき、学習中に新生した棘突起を同定した。学習後に固定脳標本を作製し、シナプス前軸索終末の由来を探るべく4重染色を行うことで、共焦点顕微鏡にてCCシナプスとTCシナプスとを区別することに成功した。学習の初期(4日後)においては、新規のCCシナプスが豊富に形成されたが、さらに学習を進めると、これらのCCシナプスは学習後期(8日目)には消失していた。一方で、新生したTCシナプスは学習の後期においても残存し、さらにそのシナプスは成熟する傾向にあることが、電子顕微鏡観察との相関解析により明らかとなった。これらのことは、神経回路によってそのシナプス動態が異なることを表しており、運動の学習と記憶において、それぞれ異なる神経回路が担っていることが示唆された。