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[US8-04] 口内炎に対するステロイド軟膏の作用機序の解明
キーワード:口内炎、疼痛、行動実験
口内炎は多くの人が経験したことのある粘膜疾患であり、治療薬にはステロイド軟膏がよく処方されている。ステロイドのグルココルチコイドは、グルココルチコイド受容体標的遺伝子の発現上昇によりそれぞれのターゲット分子に作用することで抗炎症効果を発揮する。さらにはアラキドン酸カスケードにおけるPGE2の発現を低下させることにより鎮痛効果をもたらす。しかしながら、これまでに口内炎を有するヒトに対してステロイド軟膏を使用した報告では、疼痛抑制効果について意見の一致が見られておらず、口内炎疼痛に対してどのように作用するのかは不明であった。そこで我々は、第一三共ヘルスケア株式会社との共同研究により、ワセリンやプラスティベース、トラフル軟膏基材といった種々の軟膏基材にステロイドを添加させ、ラットにおける口内炎疼痛抑制機序の解明を行ってきた。その結果、口腔内でより長い残留時間を示すステロイド軟膏が薬効を発揮することが明らかになった。低残留の軟膏はステロイドが含有されていても全く鎮痛効果を示さず、ステロイド軟膏が口内炎疼痛に有効でないという過去の報告は、その残留性に問題があった可能性が考えられた。さらに、高残留性ステロイド軟膏はCOX-2の発現を抑制することで自発痛を抑制し、神経終末上のTRPA1の応答性を低下させることで接触痛を抑制させる可能性が示唆された。 本発表ではこれらの共同研究の成果を報告し、さらにラット行動実験で苦労した点・工夫した点についても紹介したい。