一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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シンポジウム7
教科としての「保健」を学ぶ本質とは何か-高校保健の新たな学習内容を手がかりにして-

コーディネーター:野津有司(筑波大学名誉教授),岩田英樹(金沢大学)

キーワード:新学習指導要領 安全教育 精神疾患

趣旨
 近年,改めて教科の本質を問い直すような議論が,教科教育の関連学会等において盛んに行われている.その契機の一つとなったのは,中央教育審議会(答申)において「コンピテンシー・ベースの学力論」や教科の「見方・考え方」といった視点が示され,各教科等で学ぶ本質的な意義を明らかにしていく重要性が指摘されたことにあると思われる.すなわち,教育課程全体や各教科等の学びを通して「何ができるようになるのか」という教科横断的な資質・能力の育成の議論が求められ,それに伴って各教科等で「何をどう学ぶのか」ということが改めて問い返されているからである.
 こうした状況の中で,渉外委員会では,「教科としての『保健』を学ぶ本質とは何か」をメインテーマとしたシンポジウムを企画した.前回の第66回大会では,カリキュラム・マネジメントの視点を手がかりとして,心身の健康の保持増進に関する教育と関わりが深い関連教科等から教科保健の学びを照射するアプローチで,ラウンドテーブル形式による議論を行った.幸いにも多くの参加者を得て,活発な意見交換が行われ,その成果を学校保健研究61巻(pp.325‒330)に掲載報告した.
 今回は,前回の企画趣旨を継承し,高校保健の学習内容に焦点を絞って,改めて保健での学びを考えることにしたい.なお,高校の科目保健は,配当時間数や,単独で評定が行われていること等,比較的に体裁が整っている.また,高校は来年度から,新学習指導要領が学年進行で順次実施されるというタイミングにある.
 そこで,先ず話題提供として,新学習指導要領において,各教科等でも取り扱いが充実された安全教育について東京学芸大学の渡邉正樹先生に,また約40年ぶりに学習内容として取り扱われることになった精神疾患について東海大学の森良一先生に,それぞれご報告いただく.次いで,高校の保健体育教師に加わっていただき,質疑応答等を行う予定である.
 本企画は,オンデマンド配信で行われるため,視聴参加された方々との直接の意見交換は難しいが,保健の学びの本質を考える一助となることを期待している.