一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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健康管理,疾病予防1(OP-0301~0305)

下村淳子(愛知学院大学)

[OP-0301] 小学校におけるインフルエンザ流行状況(2011年度~2020年度)

山岸あや, 徳村光昭, 井ノ口美香子, 内田敬子, 康井洋介, 長島由佳, 河津桃子, 外山千鈴 (慶應義塾大学保健管理センター)

【背景と目的】季節性インフルエンザは小児より成人へと流行が拡大する.本報告では小学校におけるインフルエンザの流行状況を過去10年間にわたり解析し,市中の流行状況と比較検討した.【対象】2011年度から2020年度に東京都内私立小学校に在籍した児童,延べ8,479人(男子延べ5,647人,女子延べ2,832人).【調査方法】2011年度から2020年度においてインフルエンザに罹患した児童の保護者を対象に,医療機関が記載した「学校感染症登校許可証明書」の提出を求めた.医療機関初診日を罹患日とし,インフルエンザ迅速診断検査未実施例は除外した.対象年度においてインフルエンザ流行期である10月から3月の流行状況を亜型別に解析した.【結果】インフルエンザ罹患者数は延べ1,971人(男子1,308人,女子663人),年度別では2020年度0人を除いて各年度60人から301人であった.亜型別では7年度でA型が,2年度でB型が多かった.罹患者数は低学年(1・2・3年生)と高学年(4・5・6年生)ではA型・B型ともに低学年が統計学的に有意に多かった(p<0.001).流行期におけるインフルエンザ罹患者数の推移および学級閉鎖の実施時期は東京都の流行状況と一致した.【考察】小学校におけるインフルエンザの流行は地域の感染状況と一致し,低学年で感染が拡大することが示唆された.2020年度の流行状況からは,新型コロナウイルス感染症対策のマスク着用を含む飛沫感染対策の徹底により学校内のインフルエンザ感染を予防できることが示唆された.