一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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健康管理,疾病予防1(OP-0301~0305)

下村淳子(愛知学院大学)

[OP-0302] 季節性インフルエンザの高等学校における学級閉鎖の効果の検討

増本由紀子, 松山亮太, 恒松美輪子, 梯正之 (広島大学大学院医系科学研究科)

【目的】インフルエンザの蔓延を抑止する一つには学級閉鎖の有効性が示されている.そこで,高等学校における学級単位の季節性インフルエンザの流行動向を把握し,学級ごとの罹患者の推移とその出席停止期間との関連性について定量的に検討する.【方法】中国地方I市の全日制高等学校4校に所属する高校生のうち,インフルエンザ罹患者の罹患の推移を観察した.調査は2016/17から2018/19の3年間に実施した.各年の12月から3月の生徒数と罹患者の出席停止情報データをもとに記述疫学的分析を行い,さらに感染症数理モデルの1つであるSEIRモデル(S:susceptible(感受性保有者)-E:exposed(潜伏期間)-I:infected(感染者)-R:recovered or removed(免疫獲得者))を用いた解析を実施し学級閉鎖の効果を検討した.【結果】1シーズンの学級単位の罹患率は0.0% - 56.3%であった.発生数と累積罹患者数の推移は,地域流行と比べるとシーズンや学校によっては影響が異なった.学級閉鎖のシミュレーションにおける学校閉鎖の効果は,学級閉鎖により累積総感染者数を減少させることができるものの,1人日の休校をしても1人日の感染症による欠席を防ぐことができなかった.【結論】季節性インフルエンザの流行は,罹患率は学級毎に大きく異なっており,地域流行の影響を一律に受けているというより,偶然変動の影響が大きいように思われた.高等学校において季節性インフルエンザの学級閉鎖は効果があるものの必ずしも効率的とはいえないかもしれない.