The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題

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健康管理,疾病予防2(OP-0306~0310)

大川尚子(京都女子大学)

[OP-0309] 不登校児童生徒の健康課題に関する文献的検討-生活習慣の状況に着目して-

小出真奈美1, 片岡千恵2, 澤江幸則2 (1.筑波大学大学院人間総合科学学術院, 2.筑波大学体育系)

我が国における不登校児童生徒数は18万人を超え(文部科学省,2020),今日における学校保健上の一層重要な課題となっている.このような中で学校と地域が取り組むべき不登校児童生徒への支援の一つとして,児童生徒の社会的自立に向けた生活習慣の確立が推進されている.本研究では,近年の不登校児童生徒の生活習慣に関する健康課題について,文献的に検討することを目的とした.対象文献は,検索エンジンCiNiiおよびJ-STAGEを用いて1990年から2020年に発刊されている国内の論文とした.検索キーワードは「不登校」と「生活習慣」,「食事」,「食生活」,「睡眠」,「運動」などとした.そのうち学会抄録および重複する論文を除き,児童生徒を対象とした文献を分析対象とした.その結果,生活習慣のうち「睡眠」に関する文献が最も多かった.また,不登校ではないが登校回避感情を持つ児童生徒の生活習慣を明らかにしたものや不登校経験者を対象としたものなど,不登校の予防に寄与する研究や再登校を援助する研究が散見された.一方で,不登校児童生徒の健康課題の解決に向けた研究知見は十分蓄積されているとは言い難かった.今後,不登校児童生徒の多様化等が推測される中で,彼らの生活習慣をはじめとする健康の保持増進に向けた知見が求められる.また,不登校児童生徒の生活習慣の確立と社会的自立を目指した支援をしていくために,保健教育や保健管理など不登校児童生徒の状況に応じた学校保健活動が重要であると考えられる.