The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題

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健康管理,疾病予防2(OP-0306~0310)

大川尚子(京都女子大学)

[OP-0310] 中学生における尿中Na/K比高値が血圧に及ぼす単独および肥満との複合影響

張岩1, 宮井信行1, 辻久美子2, 有馬美保3, 寺田和史4, 内海みよ子2, 宮下和久1, 武田眞太郎1, 有田幹雄1,5 (1.和歌山県立医科大学, 2.東京医療保健大学, 3.関西医療大学, 4.天理大学, 5.角谷リハビリテーション病院)

【目的】ナトリウム(Na)とカリウム(K)のバランスは,高血圧の成因において重要な役割を果たすとされる.また,肥満は食塩感受性を亢進して血圧上昇を増大させることが示唆されている.本研究では,中学生を対象にNa/K比高値が血圧に及ぼす単独および肥満との複合的な影響を検討した.【方法】対象者は,A県内の中学校の生徒411名であった.肥満はBMIを指標にWHOによる小児の性別・年齢別カットオフ値を用いて判定した.血圧は臥位安静を保持し,左上腕より収縮期および拡張期血圧を測定した.また,随時尿を採取してNaとKの濃度を測定した.【結果】対象者をNa/K比の第4五分位数で2群に分けて比較した結果,Na/K比が高い群は性,年齢,肥満を補正後も血圧が有意に高値を示した(収縮期:112.3 vs.107.8 mmHg, ηp2=.038,拡張期:64.3 vs. 61.8 mmHg, ηp2=.021).次に,肥満の有無で層化して分析したところ,群の差は非肥満者のみで有意となったが,差の効果量は肥満者(収縮期:ηp2=.037,拡張期:ηp2=.033)と非肥満者(収縮期:ηp2=.039,拡張期:ηp2=.019)で同様の値を示した.また,重回帰分析において,Na/K比と肥満は収縮期および拡張期血圧の独立の規定因子となった.一方,肥満とNa/K比の交互作用は有意とならなかった.【結論】中学生において,Na/K比は交絡因子の補正後も血圧に有意に関連した.また,Na/K比高値に伴う血圧の上昇は肥満者と非肥満者で同程度であり,肥満が重複することによる相乗的な影響は認められなかった.