一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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健康管理,疾病予防3(OP-0311~0315)

棟方百熊(岡山大学)

[OP-0315] 保健体育科教育実習生が観察・実践した体育授業における見学者対応の実態と課題

橋本実来1, 中川麻衣子2, 中尾有子2, 難波知子1 (1.川崎医療福祉大学 医療技術学研究科 健康体育学専攻, 2.川崎医療福祉大学 医療技術学部 健康体育学科)

【目的】保健体育科教育実習生が観察・実践した体育授業を領域(B~G)における見学者対応の実態から課題を明らかにする.
【方法】2019年10月,A大学4年生の教育実習を履修した43名を対象に質問紙調査を実施し,実習校の保健体育科教諭及び実習生の見学者対応事例について分類・分析を行った(学内組織倫理承認研究).
【結果】教員による見学者対応を観察した学生は,32人(74%),収集した事例は,中学校17,高等学校25の合計42事例であった.観察した領域は,E球技(57%),B器械運動(20%),C陸上競技(12%),D水泳(10%),F武道(3%)であった.見学理由は,「体調不良」と「外傷」が8割と大半を占め,中学校においては,「月経」と「体操服忘れ」が観察された.対応内容は,ワークシートの記載(52%),教具準備・得点係などの授業補助(41%),見学のみ(26%),運動以外の授業参加(12%)であり,中高の比較では,ワークシートの記載は高校が,それ以外の3項目は,中学校の割合が高かった.一方,実習生自身が実施した見学者対応は32事例で,この内,学習指導案に見学者対応を含めた者は2割程であった.対応上の困難感には,見学理由の妥当性の判断やケガ等による授業途中からの実技離脱者及び長期にわたる見学者への対応に関する記述内容があった.
【考察】見学者対応は7割と高率で,方法は授業者に委ねられていた.体育授業において見学者一人ひとりの背景を見立てた学習と評価の担保が課題である.