一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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健康教育,ライフスキル1(OP-0501~0505)

戸部秀之(埼玉大学)

[OP-0501] 幼児の手洗い習慣及び手洗いの能力に関連する要因の検討~幼児の発達段階に着目して~

上野真理恵1, 友川幸2, 三宅公洋2, 島田英昭2 (1.信州大学大学院 総合人文社会科学研究科, 2.信州大学 教育学部)

【目的】本研究は,幼児の年齢ごとに手洗い習慣と手洗いの能力に関連する要因を明らかにし,発達段階に応じた支援の在り方を検討することを目的とした.【方法】2020年12月に,N県内の幼稚園1校を対象に1)保護者対象の無記名自記式の質問紙調査,2)全園児対象の手洗いの能力の調査を行った.1)では,基本的属性,幼児の手洗い習慣,家庭の手洗い環境,保護者の手洗い習慣,幼児に手洗いを促す頻度,幼児への手洗い指導の頻度,幼児が手洗いをしない場合の対応等について回答を得た.2)では,手洗いの能力として手洗い方法と洗い残し部位を得点化し,評価した.幼児の手洗い習慣,手洗い方法,洗い残し部位の得点をそれぞれ従属変数とし,単回帰分析で相関がみられた項目(r>0.4 p<.05)と先行研究で幼児の手洗い習慣と関連が報告されている要因を独立変数として重回帰分析を行った.【結果】分析は,保護者76名(有効回答率98.7%),園児76名(98.7%)を対象とした.幼児の手洗い習慣は,年少児は保護者の手洗い習慣(β=.62, p<.01),年中児は保護者の手洗い習慣(β=.77, p<.01),幼児が手洗いをしない場合の対応(β=.35, p<.01),年長児は保護者の手洗い習慣(β=.48, p<.05)と有意な関連があった.一方で,手洗い能力は,すべての学年において調査項目との間に有意な関連は認められなかった.【結論】幼児の手洗い習慣の形成には,学年の違いによらず,保護者の手洗いや,幼児と一緒に手を洗うことの推奨が必要であることが示唆された.