一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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健康教育,ライフスキル1(OP-0501~0505)

戸部秀之(埼玉大学)

[OP-0503] 思春期の子どもの保護者を対象とした精神保健リテラシープログラムの系統的レビュー:新たなプログラムの開発に向けて

日下桜子1,2, 山口智史1, FooJerome3, 東郷史治1, 佐々木司1 (1.東京大学大学院 教育学研究科, 2.日本学術振興会 特別研究員(DC), 3.Central Institute of Mental Health, Department of Genetic Epidemiology in Psychiatry, Medical Faculty Mannheim, University of Heidelberg)

【目的】子どもは自身の精神の不調に気付きにくいため,身近な大人である保護者が子どもの不調を認識し,専門家に繋ぐことが重要と考えられる.保護者がその役割を担うには,精神保健リテラシー(Mental health literacy:MHL)が必要である.思春期の子どもの保護者を対象に,MHLを高めるためのプログラムの効果検証を行った研究を系統的にレビューし,効果を総合的に検討することを目的とした.【方法】文献検索データベースとしてPubMed,PsycINFO,CINAHL,ERIC,Web of Scienceを用い,「parent」「literacy」「program evaluation」に関するキーワードを入力して検索した.MHLの要素の「精神疾患の知識」「精神不調の人への偏見的な態度」「精神不調の子どもを助ける自信」「精神不調の子どもへの援助行動」のいずれかをプログラムの実施前後に量的に評価した研究を採用し,アウトカムごとにその変化を検討した.各採用文献のバイアスリスクも評価した.【結果】文献検索で29150編がヒットした.採用基準を満たした11編のうち複数で,知識又は自信が介入後に有意に向上したが,偏見が有意に減少した研究は無かった.行動を測定した研究は1件のみだった.また,採用文献の半数以上でバイアスリスクが高かった.【結論】思春期の子どもの保護者を対象にMHLプログラムの効果を検証した研究は少なかった.それらの質が低かったため,全体的な効果の確立には至らなかった.新たなプログラムの開発に向けて,より質の高い効果検証を行う必要がある.