The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題

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健康教育,ライフスキル1(OP-0501~0505)

戸部秀之(埼玉大学)

[OP-0504] 学校教員がオンラインで実施する高校生向け精神保健リテラシー教育プログラム:クラスターランダム化比較試験による効果検証

山口智史1, 日下桜子1,2, 東郷史治1, 佐々木司1 (1.東京大学大学院 教育学研究科 身体教育学コース, 2.日本学術振興会特別研究員(DC))

背景:精神不調は思春期に急増するが,子供は自身の不調に気づきにくい.不調に気づき援助を求めるには精神保健リテラシーが必要である.リテラシーを高める上で精神保健教育が重要だが,高等学校の学習指導要領改訂により,今後は実際に教育が行われる.しかし,学校の過密なカリキュラムや教員の多忙さから,短時間で教員が容易に実施できる教育プログラムが必要である.本研究では,教員が短時間(20分)で一斉実施できるオンラインプログラムを開発し,その効果を検証する.方法:埼玉県のA高校1年生7クラス270名を対象にクラスターランダム化比較試験を行った.自記式質問紙により,精神疾患の一般的な知識,精神不調に気づく力,精神不調時の援助希求への意識を評価した.精神不調の事例は,うつ病・統合失調症・パニック症とした.混合効果モデルによりプログラム実施前後の各項目の変化を解析した.結果:介入群は対照群と比べ,プログラム実施後に,うつ病とパニック症での援助希求への意識を除いた全ての項目が有意に向上した.考察:短時間で教員が実施するプログラムでも,高校生の精神保健リテラシーを向上できる可能性がある.更に,オンラインプログラムはコロナ禍のような状況でも実施しやすいと考えられる.倫理的配慮:教員から生徒に,本研究の目的と内容,研究への参加は任意であることを説明してもらい,保護者にも文書を用いて同様の説明を行った.本研究は東京大学ライフサイエンス委員会倫理審査専門委員会で承認された(19-227).