一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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健康教育,ライフスキル2(OP-0506~0510)

山本眞由美(岐阜大学)

[OP-0506] 青少年女子における女性特有の健康障害に関わる要因―国内の先行研究の文献的検討から―

宮地美帆1, 片岡千恵2, 佐藤貴弘2, 山崎朱音3 (1.筑波大学大学院 人間総合科学学術院, 2.筑波大学 体育系, 3.横浜国立大学 教育学部)

近年,青少年女子の痩せの問題は月経異常,骨粗鬆症,低体重児出産などを助長し健康面に悪影響を及ぼすといわれている.女性のエネルギー不足,月経異常,骨粗鬆症の問題は近年,Female Athlete Triad(以下FAT)としてアスリートの間で着目されているが,身体運動の有無にかかわらずFATの兆候がみられることも確認されている.先行研究において,痩せや月経などの実態に関して個別に取り上げたものは多いが,その要因について包括的に把握した研究は散見されない.そこで本研究では,FATの概念に基づいた女性特有の健康障害の関連要因を文献的検討から明らかにし,その防止にむけた示唆を得ることを目的とした.対象文献は2000年以降に発行された国内の青少年女子を対象とした女性特有の健康障害の関連要因に関する論文とし,検索エンジンはCiNii,J-STAGE,医中誌を用いた.キーワードは,痩せ,月経異常,骨粗鬆症,Female Athlete Triad,要因とした.その結果,痩せの要因としては, 痩せ願望,身体満足感,自尊感情,月経異常の要因としては,ストレス,痩せ願望,心理的特性,骨粗鬆症の要因としては,運動習慣,生活習慣などが関連していた.教育的介入により改善可能な心理社会的要因や健康行動に関する要因が多く確認されたため,学校教育において女性特有の健康障害を防止できるのではないかと示唆された.今後は,海外における女性特有の健康障害の関連要因についても明らかにし,その要因についても考慮した上で質問紙を用いて関連要因について検討する予定である.