一般社団法人日本学校保健学会第67回学術大会

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健康教育,ライフスキル2(OP-0506~0510)

山本眞由美(岐阜大学)

[OP-0507] 学校における月経教育の実際と課題 第1報 ー女子児童生徒の月経観に関する先行研究ー

大島理恵子1, 近森けいこ2, 赤嶺亜紀2 (1.山口県萩市立白水小学校, 2.名古屋学芸大学ヒューマンケア学部)

【研究の目的】
月経は女性の心身の健康とQOLに大きく影響する.そのため児童生徒に行う月経教育は生涯にわたる健康の維持増進と自立・充実した人生のために必要である.
本研究では月経関連症状に影響する心理社会的要因のうち月経観(月経の捉え方)(稲吉,2017)に着目し,先行研究を精査し,児童生徒の適応的な月経観を捉えることを目的とした.
【方法】
論文情報ナビゲーターCiNii,総合学術電子ジャーナルサイトJ-STAGE,インターネット検索エンジンサイトGoogleを使用し,「月経観」「月経教育」をキーワード検索した.
【結果】
女子大生に初経時の気持ちを調査した結果,約30%が「嫌だった」と答え,「嬉しかった」と答えた者は10%弱であった(川瀬,2006).また,約40%の女子大生が月経関連症状に対処せず,「我慢するしかない」と答えていた(本岡他,2014).
否定的月経観は症状の重篤さと関連があった(野田,2003).一方,肯定的な月経観は症状を緩和するという報告(野田,2003:伊藤他,2010)も,症状を軽減することはないという報告(細坂他,2010)もあった.
【考察】
適応的な月経観とは,月経をあるがままに受け入れることである.児童生徒が痛みや不快な症状を肯定的に捉えることは難しい.そのため今後の月経教育は,生物学的な内容とともに具体的な対処方法を扱い,年齢・発達に沿った指導を継続的に実施することで,否定的な態度を適応的な月経観にし,症状の緩和を促し,生涯にわたる心身の健康維持・増進に繋げていく必要がある.